構造計算上の地下階の定義について解説

建築基準法施行令では、地下の定義としては「地階 床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの1/3以上のものをいう」と定義されています。 しかし構造計算を行う際の地震力の算定と固有周期の設定において、対象となる建物によってはこの地下の定義をそのまま用いてはいけないケースがあります。ここでは構造計算上の地下の定義について解説します。

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構造計算上の地下階の定義について

2015年版建築物の構造関係技術基準解説書によると構造計算上の地下階について

「地階であるか否かにかかわらず、計算に当たって振動性状等を勘案して地下部分としてみなすことができる部分とする」としています。

また告示解説によると「法令上地下階となる部分であっても構造計算上は地上部分として扱う場合の判定方法として構造設計Q&Aの判断事例が記述されています。ここで定義されている構造計算上の地下階の定義は

『地下階の階高の2/3以上が全て地盤と接している場合、または地下部分の外周囲がこの図のように全周囲の75%と接する場合』

(建築基準法改正に基づく構造設計Q&A集,2.5.1 ルート判定用とT計算用の建物高さ,2005 | 日本建築士事務所協会連合会)

となります。

したがって当該条件を満足すれば構造計算上の地下階、満足しなければ地上階と判断します。

地下階と判断した場合の耐震設計上の扱い

基準法上地下階と定義され構造計算上地上階と判断される建物については、地震力及び土圧・水圧等の外力に対して許容応力度設計を行い、地上階を対象として必要に応じて剛性率・偏心率の算定及び保有水平耐力の計算を行う必要があります。

例外となるケース

地下階全周面積の75%以上が地盤と接している場合にあっても、片方向で地盤と全く接していない場合については、地震時の土圧、周面摩擦等の正確な評価が難しいため、その方向の地震力を割り増すなどして設計することが望ましいとされています。

まとめ

構造計算上地下階とみなすことの可否が耐震設計上の扱いに大きな影響を及ぼすため、地下階の設定においては建物周囲の地盤面の状況を正確に把握し、適切な判断を行うことが大切です。

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