重要事項説明における耐震診断の有無とは?説明内容について細かく解説!

地震大国と呼ばれる日本で不動産取引をする上で、建築物における十分な耐震性の有無は欠かせないチェック項目となっています。不動産会社が買主や借主に対して契約締結前に行う重要事項説明には、耐震診断の実施の有無も盛り込まれています。説明対象や目的についても触れながら、説明内容について詳しく解説していきます。

目次

重要事項説明とは?

重要事項説明とは?

重要事項説明とは、宅地建物取引業法で賃貸物件契約の仲介不動産会社に対して義務付けられている説明のことです。不動産取引の判断材料としての役割も果たすもので、契約締結前に交付され、買主や借主に対して契約内容の説明を項目ごとに行います。書式は不動産会社ごとに異なるものの、法令で定められている対象物件についての重要事項に則って説明するため、説明内容に違いはありません。

説明事項の中には、耐震診断に関するものもあります。取引が行われる建物が旧耐震基準で建てられていれば、耐震診断の実施有無・耐震診断を行った場合の診断結果についての説明も法令で義務付けられています。

重要事項説明の行われる目的

重要事項説明が行われる目的は、説明が契約締結前に行われる理由に関係があります。契約締結後に内容の相違が発覚してしまうとトラブルに繋がりかねません。契約内容を再度確認し合い、正確性を高めることでトラブルの発生を未然に防ぐため、重要事項説明は契約書への署名・押印を行う前に行われます。なお、重要事項説明書と同じく賃貸物件契約の際に発行される賃貸借契約書は説明や記載の内容が異なるので注意が必要です。

説明の対象

重要事項説明の対象は、1981年5月31日以前の旧耐震基準で建築された建物、または、1981年12月31日以前に登記された居住用建築物です。さらに、賃貸事務所ビルなどの事業用・区分所有建物においては、1981年5月31日以前に登記された物件も対象となります。

重要事項説明の説明内容

重要事項説明の説明内容

重要事項説明を行うのは、説明を行うために必要な資格を有する者でなければなりません。耐震診断の実施の有無によって説明内容も異なります。以下で詳しく解説していきます。

耐震診断を行っている場合の説明

耐震診断の実施済みで新耐震基準を満たす場合には、指定機関や建築士、診断士が作成した診断結果の写しや耐震基準適合証明書の写しなどを別添します。重要事項説明ではこれらの書類を基に買主、または借主に対して耐震診断の有無と結果について説明が行われますが、検査の内容までは記載されません。賃貸借契約における重要事項説明書の記載事項は以下の通りです。

1.取引主任者氏名の署名と押印

2.賃貸事務所物件所在地や契約面積などの物件表示と交通条件

3.建物登記簿に記載された所有者氏名や権利についての内容

4.賃貸借契約において障害になるような法令制限の有無

5.水道、電気、ガス、排水の整備状況
ライフラインに関してはほとんどの物件で整備されていますが、念のため重要事項説明書に記載し、確認作業が必要とされています。オフィスビルなどはガスの整備がされていないケースが多く見られます。

6.エレベーターや冷暖房など設備の整備状況
事業事務所の場合は、電話回線や光ファイバーなど通信系の設備の確認を慎重に行う必要があります。

7.完成後の形状や構造(図面の交付)
未完成の物件を借りる場合に、話で聞いていたものと実際に完成したものが異なるとトラブルが起きる可能性があります。トラブルを回避するためには、事前に完成後の形状や構造について十分な理解が必要です。建物が未完成の時点で契約を結ぶ際には非常に重要な項目といえるでしょう。完成後の状態を口頭や文章で正確に説明するのは困難であり、互いの認識に相違が生じ得るため、借りる側は図面等の提示要求が可能となっています。要求を受けた場合には、不動産会社は交付義務に従って図面の提示を行います。

8.賃貸借契約に伴う支払いの金額
賃料・管理費・敷金・礼金・保証金など賃貸借契約に伴う金額の説明がされます。契約更新にかかる更新料なども必要な場合にはその金額についての説明が必要となっています。

9.契約の解除方法
家主と入居者の双方またはどちらかの請求により、賃貸借契約の解除が可能であることについての説明です。解除可能な状況についての説明も必要となっています。

10.損害賠償の方法や賠償にかかる違約金等の説明
借主が賃貸物件を無断で改装してしまったなどの場合は、借主は損害賠償責任を負います。損害賠償を要求する場合の方法や違約金などの説明がされます。

11.物件使用上の禁止事項
借主が賃貸物件に住む上で守らなければいけない禁止事項は、物件によって異なります。転貸の禁止やペット禁止など、細かい事項についてあらかじめ説明を受けます。

12.旧耐震基準で建築された建築物の場合は耐震診断実施の有無

13.不動産会社への仲介手数料
賃貸物件契約の仲介を行った不動産会社に対して支払う仲介手数料の金額です。

耐震診断を行っていない場合の説明

旧耐震基準で建築された物件で耐震診断を行っていない場合には、貸主や管理会社など確認元の説明を行います。耐震診断の記録がない場合には不動産会社(宅地建物取引業者)が耐震診断を促すことはあっても、行う義務はないとされています。

重要事項説明書は宅地建物取引士が発行する

宅地建物取引業法により義務付けられている重要事項説明は、賃貸借契約に伴って発生する金額や使用条件など契約において重要な事項を借主に口頭で説明するものです。賃貸借契約の仲介を行った不動産会社の宅地建物取引士が賃貸契約書を元に作成・発行を行います。似たような内容も多く記載されますが、重要事項説明書では賃貸契約書よりも確実に把握する必要のある事項がまとめられているため、見落とさないよう注意しましょう。不動産会社と借主の記名・押印がされた2通を発行後、双方は1通ずつ保管します。重要事項説明書は貸主には渡されません。

宅地建物取引主任者のみ説明が可能

不動産会社の社員であれば、誰でも重要事項説明ができるわけではありません。宅地建物取引主任者試験に合格し、都道府県知事から「宅地建物取引主任者証」の交付を受けている宅地建物取引主任者である必要があります。重要事項説明を行う際には、宅地建物取引主任者であるという身分を証明するために、「宅地建物取引主任者証」の提示が義務付けられています。

重要事項説明を受けて十分な耐震性を満たしているかチェックしよう

重要事項説明を受けて十分な耐震性を満たしているかチェックしよう

地震の多い日本で不動産取引をする際には、耐震性が十分であるかチェックしましょう。家の安全が保証されず命の危険が隣合わせでは安心して暮らせません。内容が似ている賃貸借契約書と混ぜこぜになりそうですが、重要事項契約書にのみ記載されている事項は押さえておくべき重要な事項です。物件の賃第二次診断貸借を検討する際は不動産の専門家である宅地建物取引主任者による説明を受け、理解を深めましょう。

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