耐震診断は無料で受けられる?業者の選び方や向いている人を解説

耐震診断は、既存の建物の強度を調べ地震に対する安全性と受ける被害の程度を判断するものです。着工時期や建物の種類や規模によっては、義務化されているものもあります。耐震診断は自治体や設計事務所、工務店などで受けられて、無料で耐震診断を受けられる場合もあります。

無料の耐震診断と有料の耐震診断の違い、無料耐震診断が向いている建物や人について詳しく解説します。

目次

耐震診断とは

耐震診断とは

耐震診断とは、旧耐震基準で設計された建築物について、現在使われている新耐震基準を用いて耐震性の有無を確認することをいいます。

耐震基準は、大地震が起こるたびに見直され厳しくなっています。新耐震基準は、1978年の宮城県沖地震による甚大な被害を受けて改正されたものです。1995年1月に起こった阪神・淡路大震災の被害状況をもとにさらに改正され、「2000年基準」とも呼ばれています。

新耐震基準で建てられた建物であっても劣化が著しい場合や耐震性が疑われる場合は、耐震診断を受けた方がいいケースがあります。

耐震診断が必要な建物

建物の種類や規模によって、耐震診断が義務付けられているものがあります。耐震診断が義務化されている建物は、学校や病院、ホテル・旅館、百貨店、福祉施設や保育所など幅広く設定されています。

人が多く集まる場所や、避難しなければいけないときすぐに行動するのが難しい人がいる場所が指定されています。建物の階数や規模によって対象要件に該当する場合もあるため、建物の所有者は保有している建造物が耐震診断義務の対象になっているか確認する必要があります。

耐震診断が対象の建物の着工時期は


耐震診断の対象となるのは、1981年5月31日以前に建築確認済証が交付された建物です。保有している、または住んでいる建物が耐震診断の対象になるかは、建築確認済証の交付時期を見ればわかります。

無料の耐震診断と有料の耐震診断について

無料の耐震診断と有料の耐震診断について

日本政府は、大地震が発生したときの建物の倒壊による被害を少なくしようと、建物の耐震化を進めています。そのため、都道府県や市区町村で耐震診断を行ったり、耐震診断後に改修工事が必要になった建物に対して補助金を出したりしています。

自治体によっては耐震診断を無料で受けられる場合があります。各自治体によって耐震診断の方法は異なりますが、民間の建築士を派遣して行うケースや、パソコンで必要な情報を入力して簡易的に診断するものがあります。

一方、民間の建築事務所や工務店などでも耐震診断を行っています。こちらも有料で行う業者と、サービスの一環として無料で行う業者がいます。

無料の耐震診断が向いている人

無料の耐震診断が向いている人

自治体の無料耐震診断を受ける場合は、無料耐震診断が受けられる建物の条件を満たしている必要があります。条件は各自治体によって定められていますが、1981年5月31日以前に着工した木造住宅を対象としている自治体が多く見られます。

有料の耐震診断と比較すると無料の耐震診断は簡易的な傾向にありますが、すべての建物が有料の耐震診断を受けた方がいいとは限りません。無料の耐震診断が向いているケースもあるため、耐震診断を受けたいと思っている人は、有料と無料、どちらが適しているか検討して決めるといいでしょう。

建て替えを考えている人

建て替えを検討している建物の場合は、無料の耐震診断が適しています。今の状態のまま長く住み続けるつもりがない、次の世代に残したいと思っている建物ではない場合、無料の耐震診断の結果を踏まえて、建て替えをするかどうかの判断ができます。

また耐震補強工事が必要とわかった場合、いくらまでなら補強工事を行うか、いくら以上なら建て替えを検討するか、おおよその金額を決めておくといいでしょう。

補助金が受け取れない人

多くの自治体では耐震診断だけではなく、耐震診断の結果で耐震補強工事が必要と判断された建物に対して補助金制度を設けています。補助金制度を利用するには、無料耐震診断と同じように条件があります。

補助金を受けられる条件は自治体により異なりますが、多くの場合所得が1,200万円以下、1981年5月31日以前に建てられた居住用の木造、などと定められています。条件に当てはまらない建物の場合は、補助金は受けられません。

補助金対象外の建物を保有している人は、まずは無料の耐震診断を受けてみるといいでしょう。

補助金の申請が面倒な人

耐震診断自体は有料ですが、補助金を出して耐震診断を行う自治体もあります。無料の耐震診断よりも詳しく建物の耐震性を調べてもらえますが、補助金を申請するためには必要書類の作成、提出が必要です。また最初に耐震診断の料金全額を支払い、後から補助金が支払われるケースもあります。

大きな地震が起こった後は、耐震診断の申し込みが増えて混雑し時間がかかります。耐震診断の補助金申請が面倒だと感じる人や、書類を揃えるのが手間な人は、無料の耐震診断がおすすめです。

建築士の知り合いがいる人

知り合いに建築士がいて耐震診断を依頼できそうなら、無料の耐震診断よりも安心して相談できるかもしれません。料金は支払わなければいけないかもしれませんが、知人としてしっかり耐震診断を行い、的確なアドバイスをくれるでしょう。

無料の耐震診断を受けるときのポイント

無料の耐震診断を受けるときのポイント

無料の耐震診断を受けるときのポイントについてお伝えします。耐震診断になるべくお金をかけずに、建物の強度を調べたいと思う人は少なくありません。

しかし無料の耐震診断でも、耐震補強が必要な建物かどうか現在の状況がはっきりわからなければ耐震診断を行う意味がありません。

「こんなことなら、最初から有料の耐震診断を受けておけばよかった」と後悔しないよう、耐震診断や結果後の対応に満足できる業者を選びましょう。

2、3社に診断してもらう

無料の耐震診断を依頼するときには、2、3社に依頼して診断してもらうといいでしょう。手間と時間は少しかかりますが、それぞれの業者の耐震診断を行う手順や担当者の対応がわかります。

もし耐震診断の結果、耐震補強工事が必要になった場合は費用の見積もりも比較できます。住んでいる自治体で無料の耐震診断を行っているなら、自治体と民間の業者の無料耐震診断の両方を受けてみるのもいいでしょう。

1社だけでは耐震診断が的確かどうか判断できないこともあるので、いくつかの業者に依頼してみてください。

有資格者がいるところに依頼する

耐震診断は、有資格者がいるところに依頼しましょう。通常であれば耐震診断資格者は、一級建築士や二級建築士、木造建築士などの資格を持っています。

調査員が耐震診断を行う方法を採用している自治体では、市区町村が認めた団体に所属している講習を受けた耐震診断員を派遣します。

建築士の資格だけでは耐震診断は行えません。公式サイトをチェックするなどして、耐震診断の資格を有している人が在籍するところを選んでください。

押し売りに注意する

民間の業者の中には、自社の宣伝の一部で耐震診断を行い、無理な営業活動をしてくるところもあるかもしれません。耐震診断の結果を悪用した、必要のない補修工事などの押し売りで高い費用を払わされるなどの被害にあわないよう注意しましょう。

耐震診断の業者に少しでもおかしいと思うところがあったり、有料の工事をしつこく勧めてきたりするようなら、業者の口コミを調べてみてください。また、焦って契約せずに家族とよく話し合って結論を出すようにしましょう。

無料の耐震診断を受けるときは信頼できるところへ

無料の耐震診断を受けるときは信頼できるところへ

耐震診断は、有料のものと無料のものがあります。有料の耐震診断は、料金も業者によってさまざまです。なるべくコストをかけずに耐震診断をしたいと考える人も少なくありません。

無料の耐震診断は自治体が提供しているところも多く、そのほかにも民間の業者に依頼もできます。建物が安全か確認し、必要なら適切な耐震補強工事ができるよう実績のある業者を選びましょう。有資格者がいて、口コミでも評判のいいところを探してください。

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