耐震診断士とはどんな資格?診断内容・業者の選び方も解説

建造物が地震に対してどのくらい強度があるか確認するには、耐震診断を行わなければいけません。耐震診断は、耐震の知識と技術を持つ人に依頼する必要があります。築年数だけではなくリフォームをしたかどうかなどを確認し、建物の外側と内側を詳しく見ていきます。耐震の調査ができる耐震診断士の資格とはどのようなものか、また耐震診断士を探すときの方法について詳しく解説します。

目次

耐震診断とは

耐震診断とは

耐震診断とは、建物の耐震性を調べる調査です。住宅だけではなくさまざまな建造物に対して、大地震が来たときに倒壊しないかどうか、数多くのチェック項目に従って診断します。

耐震診断を行うことで、建物の弱い部分がわかり、具体的な対策が必要か、必要な場合は補強方法がわかります。

耐震診断は、大きな地震が起こるたびに基準が厳しくなる方向へ改定されています。

耐震診断が義務化されている建物も

建物を建てるときには、建築基準法に従わなければいけません。この法律は、過去に何度か改定され、今度も改定される可能性があります。耐震診断を行うときには、現在施行されている耐震基準をもとに建物を調べます。

昭和56年5月31日以前に着工した建築物は、耐震診断を行う必要があります。昭和56年6月1日から建築基準法施行令が改正、新しい耐震基準が用いられるようになったため、それ以前に着工した建物は、原則耐震診断が義務とされているのです。

耐震診断は有資格者に依頼する必要がある

耐震診断は、専門的な知識と経験のある人に依頼しなければいけません。建築士の資格を保有しているだけでは耐震診断はできません。耐震診断を行えるのは、耐震診断資格者または国土交通大臣登録の木造耐震診断資格者講習を受けた人です。

耐震診断資格者は、全国で1,500名以上いるといわれていますが、建物の数と比較すればごく少数です。所有している建物の耐震診断を行いたい場合は、近くの耐震診断の有資格者に依頼する必要があります。

耐震診断を依頼するには

耐震診断を依頼するには

耐震診断士がどこにいるかわからないと、耐震診断の依頼ができません。耐震診断を行っているところや、依頼できるところを紹介します。

工務店

建築士や大工など建築に関するプロと関わる工務店の中には、耐震診断を行っているところがあります。またリフォームを請け負う会社でも、耐震診断を行っている場合があります。

料金はそれぞれ設定している金額が違うため、いくつかの業者から見積もりを取り、比較するといいでしょう。中には、悪質な業者もいるので注意が必要です。

市区町村

住んでいる市区町村や、耐震診断を行いたい建物がある市区町村に相談してみるのもいいでしょう。

都市部の場合は、耐震診断資格者を登録する制度を有する地域もあり、高い技術と豊富な経験を持つ信頼できる耐震診断資格者を探せます。

また、耐震診断で耐震補強工事やリフォームが必要と判断された場合、耐震診断助成金制度を申請できる地域自治体もあります。

耐震診断士とは

耐震診断士とは

耐震診断ができるのは、国土交通大臣登録の木造耐震診断資格者講習を受講し修了した人です。

または一般財団法人の日本建築防災協会発行の「木造住宅の耐震診断と補強方法」の内容を正しく理解し、実際の調査の方法も学んで耐震技術認定者に認定された人も、耐震診断を行えます。

政府が掲げる令和7年度末までに現在の基準で耐震性を持たない住宅のほとんどをなくすために、各都道府県でも住宅耐震診断士の養成や認定を行っているところも多くあります。

耐震診断士は国家資格ではありませんが、一定の講習を修了するか試験に合格した人だけが、耐震診断を行えます。

耐震診断士の受講資格

耐震診断士の受講資格

耐震診断士になるには、定められた講習を定められた期間内に修了する必要があります。ただし、講習を受講できる条件があるので、それらをクリアした人しか、耐震診断の講習を受けられません。

一級・二級・木造建築士

耐震診断の講習に申し込めるのは、一級・二級・木造建築士の資格を持つ人です。建物の構造や建築に関する知識のある専門家だけが、耐震診断士の講習を受けられます。

地方自治体によっては、一級建築士の資格取得後5年以上経過した者、二級建築・木造建築士で資格取得後10年以上経過した者などと、資格保有だけではなく取得後の年数を定めているところもあります。

実務経験7年以上

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)で作られている耐震技術認定者資格制度では、一級・二級・木造建築士、または木造建築工事業の実務経験が7年以上ある人に受講資格があると定めています。

実務経験がある人ならば、耐震診断の結果を踏まえて、必要な対策やリフォームなどの適切なアドバイスができます。

考査試験の合格

木耐協の耐震技術認定者になるためには、耐震技術認定者講習会を受講し、さらに考査試験に合格する必要があります。耐震技術認定者制度は、全国の木耐協の組合員が耐震診断の知識を取得し、技術を向上させるために作られたものです。

3年ごとの更新受講も必要

木耐協の耐震技術認定者講習会を受講して耐震技術認定者になった場合、資格を取得して終わりではありません。耐震技術認定者として耐震診断を行うためには、3年ごとの更新受講が必要です。

さまざまな建造物を診断する技術力の低下を防ぎ、耐震基準が変わった場合には、新しい診断基準に適した診断ができるよう定期的な講座を受けて能力を維持するのです。

耐震診断士に登録する条件

耐震診断士に登録する条件

耐震診断士の資格を有した場合、地方自治体で耐震診断士の登録ができます。登録に必要な条件は、それぞれの自治体によって多少の違いがあるため、登録したい自治体の公式サイトで確認しましょう。

ここでは、一般的に必要とされる条件をいくつか紹介します。

建築士であること

建築士であることは、多くの地方自治体で耐震診断士登録の条件としています。ただし、ほとんどの自治体が、1級建築士・2級建築士・木造建築士のどれにあたるかは問わないとしています。

しかし、建築士の資格を持っているだけではなく、知事の登録を受けた建築士事務所に勤務する人や、個人事業主または個人事業者などの条件を設けている自治体もあります。

建築士の資格を持っているだけではなく、現役で働いていて実績があることが求められているといえます。

木造耐震診断資格者講習受講修了証明書があること

日本建築防災協会が行っている国土交通大臣登録の木造耐震診断資格者講習を受講し、修了証明書を持っていることを条件とする自治体もあります。

耐震診断士の資格は、この木造耐震診断資格者講習と耐震技術認定者講習会のどちらかを受講するのが一般的です。自治体によっては、木造耐震診断資格者講習の受講が必須の場合、どちらかを受講していればよい場合、または、自治体主催の講習会を受けていれば登録可能なケースもあります。

登録する自治体によって必要な資格が違う場合がありますが、一定の講習を受けている人しか登録はできません。

建築士事務所登録があり耐震診断業務を行っていること

登録する自治体に建築士事務所登録があることを条件にしているケースも少なくありません。また、登録申請前にすでに耐震診断業務を行っていて、実績を有することを条件にする場合もあります。

過去2年に一定以上の耐震診断や耐震補強の実績があること

耐震診断だけではなく、耐震診断士の資格取得から一定の期間内に、耐震補強の実績があることを求める自治体もあります。

耐震診断は、建物を壊さず行う一般診断法と、一部を解体して行う精密診断法があります。調査したデータをもとに耐震性を出します。精密診断法はより正確な建物の耐震性を算出でき、必要であればリフォームや耐震補強の工事を行います。

耐震診断士のいる建築事務所や工務店のサイトにリフォームや耐震補強の実績がある場合は、信頼できる耐震診断を行っていると判断できます。

耐震診断は耐震診断士へ

耐震診断は耐震診断士へ

耐震診断をする場合は、正しい知識と技術を持った、実績のある耐震診断士に依頼する必要があります。耐震診断士は、建築士の資格をすでに持っていて、さらに耐震診断に関する講習を終えていなければいけません。

耐震診断士を探すなら、建築事務所や工務店、リフォーム店などを調べてみましょう。耐震診断の実績や事例、明確な料金が掲載されているか確認してください。料金の安さだけではなく、技術や知識がある耐震診断士かどうかを判断しましょう。

耐震診断をしたい自治体の公式サイトからも、耐震診断士を探せます。自治体に耐震診断士として登録する条件をクリアしている人なので、信頼できるでしょう。

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