FIT認定とFIP認定は、再生可能エネルギーの買取や売電の際に知っておきたい仕組みです。地球温暖化対策をはじめ、日本ではさまざまなエネルギー問題を抱えています。エネルギーの自立化を図るためにも、一人ひとりが再生可能エネルギーについて学ぶ必要があります。今回はFIT認定とFIP認定について詳しく紹介しますので、再生可能エネルギーについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
FIT認定とは?
FITは再生可能エネルギーを普及させるための制度の1つです。再生可能エネルギーとは、利用したエネルギーを再生して、繰り返し資源を利用する仕組みのことを指します。
近年、地球温暖化の影響から温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーが注目されており、FITも環境や生物を守るために制定されました。
FITの意味
FITは「Feed in tariff」の頭文字を略した言葉です。日本語で「固定価格買取制度」といった意味があり、再生可能エネルギーで発電した電気について、国が定めた価格で電力会社が買い取るように義務付けた制度になります。
日本では2012年にFITが制定されましたが、それ以前に導入している国もありました。FITは2017年に改定されているので、より詳しい制度の内容を知りたい方は、改定後の情報を参考にしてください。
再生可能エネルギーの価格制度
太陽光発電や風力発電など、温室効果ガスを発生しない再生可能エネルギーは、FITで定められた価格で各電力会社が買い取っています。
買取価格はFITで一定期間金額が定められているので、再生可能エネルギーの導入を検討している方には嬉しい制度です。再生可能エネルギーを作る設備を設置した時点で、一定期間の売却価格が保証されます。
FIT認定の仕組み
再生可能エネルギーを電気にして利用するには、通常の化石燃料よりもコストがかかるのが難点です。電力会社も化石燃料から発電した方が費用が抑えられるので、本来であれば再生可能エネルギーを買い取るのは金銭的な負担がかかります。
そこで電力会社の負担を軽減する働きをしているのがFITです。再生可能エネルギーを利用する負担金を電気利用者から調達する「生可能エネルギー発電促進賦課金」を利用し、国が再生可能エネルギーの普及を目指しています。
電気利用者から再生可能エネルギーにかかるコストを調達できることで、電力会社も積極的に電気の買取ができるようになりました。
「FIT電気」と「再生可能エネルギー」の違い
再生可能エネルギーはすべてFIT電気であると認識している方もいますが、これらには違いがあります。FIT電気とは、FIT(固定価格買取制度)を利用して買い取られた電気のことで、電気を調達するための費用は、電気を利用するすべての家庭から集められた賦課金で賄われています。
同じ再生可能エネルギーでもFIT制度を利用せずに調達した電気は、FIT電気にはなりません。FIT電気と再生可能エネルギーを区別しているのは、発電費用を誰が負担しているかを示すためなので覚えておきましょう。
FIP認定とは?
FIPもFITと同じく再生可能エネルギーの政策の1つです。FIPは日本だけではなく、欧州をはじめとした他国でも導入が進んでおり、再生可能エネルギーをより一層普及させる目的で制定されています。FIPの意味や目的、FITとの違いについて詳しく解説します。
FIPの意味
FIPは「Feed in Premium」の頭文字を取った略で、日本語では「変動型の価格買取制度」といった意味があります。
FIPはFITと同じく、再生可能エネルギーの売電をサポートする制度です。FIP制度も電力会社の買取価格を保証していますが、売電価格は電気市場価格と連動しているのが特徴です。市場価格よりも高い金額で電気を買い取ることで、再生可能エネルギーの普及を促しています。
FITとFIPの違いとは?
FITとFIPの大きな違いは、電気の買取価格です。FITは固定された金額で売電できるのに対し、FIPは市場価格によって売電価格が変動します。FIPは市場価格と同じ価格で買取、売電するのではなく、補助額が上乗せされた金額で取り引きされます。
再生可能エネルギーを電気にして利用するにはコストがかかるため、プレミアム価格(補助額)で買取や売電が行われています。
FIP認定の主な目的
現在はFIT制度より、FIP制度への転換が行われています。再生可能エネルギーをより普及したり、電気利用者が負担する賦課金を低減させたりするのが目的です。
また、FIPは再生エネルギーの自立化も視野に入れた制度でもあります。世界でも注目されている「温室効果ガスの排出をゼロにする」目標を実現するためにも、FIP制度が導入されました。
FIP認定の仕組み
FIPは再生可能エネルギーを売電する事業者が、きちんと収益を得られるように考えられた制度です。FIPのプレミアム部分である補助額が市場価格と連動することで、電気を利用する方の負担を減らすほか、電力の需要と供給のバランスを保てるように自立した電力源を確保するための仕組みです。
FIPは市場価格と連動して買取価格が決まるため複雑に見えますが、再生可能エネルギーを普及させる目的はFITと同じなので、目標はほとんど変わっていません。
FIT認定からFIP認定へ移行できるのか?
現在FIT制度を利用している事業所は、すでに再生可能エネルギーで電気を作る設備が整っている状態なので、制度の転換を申請することは可能です。
新規参入の場合、FIPの認定を受けるには再生可能エネルギーを確保する設備の準備が必要なので、設備を整えてから申請する必要があります。
ただし、FIPの申請は2022年12月頃が期限となっているため、制度を利用したい方は早めに行動しましょう。また、FITからFIPに移行する場合、申請手続きに時間を要するため、転換を考えている方も早急に手続きを済ませることをおすすめします。
知っておきたい!再生可能エネルギーの種類
再生可能エネルギーは太陽光発電や風力発電をイメージする方も多いですが、ほかにもさまざまな方法で電気が作られています。
・バイオマス
・水力発電
・地熱発電
・太陽熱利用
・氷雪熱利用
・温度差熱利用
・地中熱利用
これらの方法で温室効果ガスを排出しない電気を作ることが可能なので、これから再生可能エネルギーの売電を検討している事業所は地域やニーズに合った方法でエネルギー源を確保してはいかがでしょうか。
FIT認定とFIP認定を理解して再生エネルギーの自立について考えよう
FITとFIPのどちらも、再生可能エネルギーの普及を目指している政策です。世界で問題視されている地球温暖化を防止するためにも、温室効果ガスの発生しない再生可能エネルギーについて知っておくことが大切です。
FITやFIPは、国内のエネルギー自給率を高める効果も期待できます。日本はエネルギー資源が少なくエネルギーの消費が多い国なので、FITやFIPの制度を利用してエネルギー自給率が高まる未来が期待されています。