太陽光発電設備に固定資産税はかかる?軽減措置もチェック!

太陽光発電設備を建物などに設置すると、固定資産税が課税される場合があります。住宅用太陽光設備は非課税または土地・建物に含まれるため申告不要ですが、収益物件や事業所に設置すると別途固定資産税の納付が必要です。太陽光発電設備に固定資産税がかかる場合でも軽減措置があるほか、17年間の減価償却を行います。

目次

太陽光発電設備に固定資産税がかかるケースとは?

太陽光発電設備に固定資産税がかかるケースとは?

太陽光発電設備を設置する際に気になるのは、固定資産税などの税金がかかるかどうかでしょう。結論を述べると、太陽光発電設備は設置場所や用途を問わず、多くの場合に固定資産税の課税対象となります。用途によっては申告も必要です。

おおまかに見ると、事業に用いる太陽光発電設備は固定資産税の対象で申告も必要ですが、住宅用で売電収入を得ていない場合は非課税で申告不要です。具体的な要件を見ていきましょう。

太陽光発電設備が住宅用か法人・個人事業主用かで異なる

太陽光発電設備は、一般的に発電容量が10kW未満なら住宅用、10kW以上なら事業用とされています。10kW以上の事業用太陽光発電設備は原則としてすべて固定資産税の課税対象となり、申告も必要だと考えて問題ありません。

一方で、10kW未満の住宅用太陽光発電設備は固定資産税が非課税か、課税対象であっても申告が不要なケースが多くなっています。ただし住宅用の太陽光発電設備でも、用途によっては固定資産税が課税されます。

発電量が多く売電収入を得ている場合も固定資産税の対象

住宅用の太陽光発電設備は固定資産税が非課税または申告不要であることが多いですが、事業収入を得ていると判断されれば、所得税に加えて固定資産税の納税・申告も必要になります。具体的には、太陽光発電設備の容量が10kW以上で、定期的に売電を行っている場合です。

また、住宅用の建物に容量10kW未満の太陽光発電設備を設置していても、事業に供している場合は固定資産税の課税対象です。賃貸住宅として他者に貸し出している場合や、住宅を事務所として使用している場合が該当します。

太陽光発電設備が固定資産税の対象かどうかの具体的な事例

太陽光発電設備が固定資産税の対象かどうかの具体的な事例

太陽光発電設備に固定資産税が課税されるか、申告が必要かは、発電容量や用途によって変わると説明しました。次は、具体的な事例を見ながら、どのような太陽光発電設備が固定資産税の対象になるかを確認しましょう。

自家消費する太陽光発電設備なら固定資産税非課税で申告不要

住宅用の太陽光発電設備で全量を自家消費している場合は、固定資産税の課税対象とはならず、申告も不要です。具体的には、太陽光発電設備の発電容量が約10kW未満であり、定期的に売電していない事例が当てはまります。自治体により判断が異なりますが、余剰電力を売却しても固定資産税はかかりません。

太陽光発電設備自体の設置方法にも注意が必要です。後述しますが、太陽光発電設備が屋根と一体化していれば、建物の一部であると判断されて固定資産税の対象になります。固定資産税を非課税とするためには、太陽光発電設備が屋根から分離されていなければいけません。

ソーラーパネルが「屋根置き型」の太陽光発電設備は取り外しが可能で、建物と一体化しているとは見なされないため、固定資産税の課税対象外となる可能性が高くなります。

屋根と一体の太陽光発電設備は申告不要だが固定資産税の課税対象

屋根と一体型の太陽光発電設備であれば、建物の一部として資産価値を高めていると判断されるため、固定資産税の課税対象となります。「屋根一体型」という名称の太陽光発電設備や、屋根瓦型ソーラーパネルなど、建物から分離させられないものが該当します。

ただし、太陽光発電設備の発電容量が10kW未満で、設置する住宅が売電を行っていない場合は、固定資産税は課税されるものの申告は不要です。法人・個人事業主が太陽光発電設備の設置者でも同様ですが、建物で事業を営んでいる場合は償却資産となります。

住宅用太陽光発電設備でも10kW以上で売電すれば償却資産で申告が必要

たとえ太陽光発電設備を住宅に設置していても、発電容量が10kW以上で定期的な売電収入を得ていれば、償却資産となり固定資産税の申告が必要です。なお、申告とは「償却資産申告書」の提出を意味し、確定申告とは別ですので注意してください。

償却資産とは、固定資産のうち土地・建物以外の事業用資産を指します。毎年価値が減っていく(償却する)ため、固定資産税の額が安くなっていくことが特徴です。また、課税標準額が150万円未満なら申告の必要がないため、償却によって設置から数年で申告不要になる可能性があります。

事業用太陽光発電設備はすべて申告が必要な償却資産

太陽光発電設備を事業用に使用している場合は、住宅用か法人・個人事業主用かを問わず、すべて固定資産税がかかる償却資産となります。また、太陽光発電設備による売電収入がある場合は、固定資産税とは別に法人税・所得税の申告も必要です。

なお、事業用の太陽光発電設備とは売電を目的とするものに限らず、建物自体を事業に用いている場合も償却資産としての申告が必要です。工場や事務所にソーラーパネルを設置したり、賃貸住宅として貸し出す建物に太陽光発電設備を設置したりする場合が当てはまります。

太陽光発電設備を地面に設置しても固定資産税がかかる

法人・個人事業主が太陽光発電設備を屋根など建物の上ではなく、地面に直接設置した場合も償却資産になり、固定資産税が課税されます。ただし、住宅用の太陽光発電設備で自家消費する場合は申告不要となり、固定資産税もかかりません。

また、地面に設置された事業用の太陽光発電設備は、売電していなくても固定資産税がかかる償却資産になります。この場合の太陽光発電設備とは、ソーラーパネルと架台に限らず、それを支えるためのフェンスや地面の舗装も含まれる可能性があるので注意が必要です。

さらに、宅地以外に太陽光発電設備を設置すると地目が雑種地に変更され、土地にかかる固定資産税の額が変わる場合があります。

太陽光発電設備にかかる固定資産税の税率と申告方法

太陽光発電設備にかかる固定資産税の税率と申告方法

太陽光発電設備に固定資産税が課税される場合は、償却資産に該当するかどうかで税率と申告方法が変わります。基本的に、住宅用の太陽光発電設備は土地・建物と同時に固定資産税を納付すれば良い一方で、事業用ならば償却資産としての申告が必要です。

住宅用太陽光発電設備は固定資産税の納税のみ

住宅の土地・建物に課税される固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に納税義務があります。住宅の屋根と太陽光発電設備が一体化している場合は、建物の一部として課税対象になるため、別途申告する必要はありません。

固定資産税の納付時期は市区町村によって異なりますが、多くの自治体では4月を第1期分、その年の12月か翌年2月頃を第4期分として、4期に分けて納税します。固定資産税の納税通知書を用いて銀行窓口やコンビニで払うこともできますし、口座振替の利用も可能です。

太陽光発電設備が事業用なら自治体への申告が必要

事業用の太陽光発電設備は償却資産としての申告が必要なため、所有者が市町村または東京都税事務所に申告書を提出しなければなりません。所得税等の確定申告とは別で、期限は通常1月4日から1月31日までなので注意が必要です。

申告書の記入方法は自治体のWebサイトに掲載されているほか、窓口で相談することもできます。また、地方税ポータルシステムeLTAXにより、インターネットでの申告も可能です。

固定資産税の税率は一律だが17年にわたり減価償却する

太陽光発電設備が償却資産になる場合は、固定資産税の税率は一律で1.4%です。ただし、課税標準額は17年間減価償却されるため、毎年固定資産税の額が下がっていきます。また、減価償却の方法には定率法と定額法の2種類があります。

計算が簡単な定額法を例として挙げます。太陽光発電設備の課税標準額が1,700万円だとすると、減価償却期間は17年なので、毎年100万円ずつ課税標準額が減額されます。固定資産税の税率1.4%をかけると、1年目の税額は23.8万円、2年目は22.4万円です。

太陽光発電設備の設置時期により軽減措置が適用される

2018年4月1日から2022年3月31日までに設置され、FIT・FIP認定を受けず、再生可能エネルギー事業者支援事業費の補助を受けた太陽光発電設備は、取得翌年から3年度分の課税標準額が3分の2または4分の3に軽減されます。

太陽光発電設備に固定資産税の軽減措置を適用するには、「再生可能エネルギー事業者支援事業費補助金交付確定通知書」の写しを市区町村に提出する必要があります。

太陽光発電設備にかかる固定資産税を理解し正しく納税しよう

太陽光発電設備にかかる固定資産税を理解し正しく納税しよう

太陽光発電設備は再生可能エネルギー普及に役立ち、家庭・事業所は売電収入を得られます。言い換えれば、売電事業を営むための償却資産となるので、固定資産税の申告が必要になるのです。自分が所有する太陽光発電設備に固定資産税がかかるか、申告は必要かを理解し、正しい方法で納税しましょう。

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