平板載荷試験とは?試験を行う上での注意点についても解説

平板載荷試験とは、原地盤に剛な載荷板を設置して荷重を与え、荷重の大きさと載荷板の沈下との関係から地盤の極限支持力や地盤反力係数など地盤の強さと変形に関するデータを得るために実施される試験です。
ここでは平板載荷試験を行う上での注意事項について解説します。

目次

試験数、試験位置

試験数・試験位置は地盤の不均質性・ばらつきを想定して判断しますが、小規模であってもボーリング調査と同様に2か所以上で実施することが望ましいです。

最大荷重(度)

計画最大荷重の値は、試験の目的が極限支持力を確認することにある場合は、地盤の種類や締り具合などから推定される極限支持力を参考にして決める必要があります。
また目的が設計荷重を確認することにある場合には、長期設計荷重の3倍以上に設定する必要があります。

載荷板径(形状・寸法)

載荷板は300mm以上の円形の鋼板を用いることになっていますが、建築物を対象とする試験では300mmの載荷板が多く用いられています。試験地盤に礫が混入する場合には、礫の最大径が載荷板直径の1/5程度までを目安とし、この条件を満たさない場合には大型の載荷板を用いることが望ましいです。

載荷パターンと制御方式

載荷パターンには段階式載荷と段階式繰返し載荷があります。段階式載荷は載荷―除荷の1サイクルの載荷方法であり主に支持力を求める場合に採用され、段階式繰返し載荷は多サイクルに載荷―除荷を繰り返して各荷重段階での変形特性を求める場合に採用されます。載荷の制御方式には荷重制御方式と沈下量制御方式がありますが、既往の実績や制御の容易さから荷重制御方式が一般的です。

反力装置

試験地盤は、半無限の表面を持つと見なせるよう載荷板の中心から半径1.0m以上の範囲を水平に整地します。反力装置にはアンカーによる方法と実荷重による方法がありますが、アンカー体や実荷重受台はいずれも載荷板中心から1.5m以上離して配置します。建築物では根切工事の最終段階で重機類や構台柱を利用することが多く、試験位置周辺での作業状況も含めて、施工計画との調整が重要です。

試験深さ

基礎の支持力や沈下量は、基礎の根入れ・形状・大きさ・剛性・地盤構成・地下水位・載荷重・載荷時間などの色々な条件に支配されるので、試験結果を実設計に用いる際には載荷条件の違いを考慮することが必要です。載荷面積の違いによる載荷の影響範囲の概念図は以下に示す通りになります。

構造物の基礎と載荷板の大きさの関係

平板載荷試験によって求められる支持力特性は載荷板の1.5~2.0倍程度の深さの地盤が対象あり、例えば300mmの載荷板により試験した場合は450~600mm程度の深さの地盤が対象となることを十分認識する必要があります。一般には深い層程地盤は固くなるので安全側の評価になっていますが、より深い地盤の影響が懸念される場合には、載荷板を大きくする必要があります。
基礎指針では試験結果を用いて支持力係数を算出し、さらに載荷板と基礎幅の違いの影響を考慮して支持力を評価する方法が推奨されています。また試験は根入れがほとんどない状態で実施されるので、周辺地盤が掘削される恐れがない場合は根入れの効果を加算して評価します。

まとめ

平板載荷試験の概要と試験方法について解説しました。ここで解説したように平板載荷試験は比較的簡単で直接的な試験でありますが、建築基礎の設計段階で行われることは稀で、根切工事後に設計支持力の確認あるいは沈下の計算に用いた変形係数の確認のために実施されることが多いのが実情です。
試験の目的に応じた適切な計画を立てることが重要です。

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