ジャンカの適切な補修方法について

「ジャンカ」とは骨材がコンクリートの一部に集まって空隙になった不良部分のことです。骨材が豆のように露出するので「豆板(まめいた)」とも呼ばれます。
本記事ではジャンカのレベルに応じた適切な補修方法について解説します。
なおクラック(ひび割れ)については以下の記事で解説していますのでこちらを参考にして下さい。
[参考記事]RCスラブやRC壁に生じたひび割れを補修する際の適切な補修材料について
     RCスラブやRC壁に生じたひび割れの適切な補修工法について

目次

ジャンカの深さが1~3cm程度

判断基準としては、周辺にモルタル層のない粗骨材が露出しており、表層の砂利を叩くと剥落するものがあるというような状況です。粗骨材同士の結合力は強くバラバラと剥落することはありません。

補修方法

補修方法としては以下の手順となります。
・健全なコンクリート部より半分以上露出した粗骨材をはつり出す

・表面の水浸し、又は噴水防止剤塗布

・はつりの表面にポリマーセメントペーストの塗布

・ポリマーセメントモルタルの塗布
又は
・無収縮モルタルパッドの塗付

ポリマーセメントペーストとは、ポリマー混和剤を混和したセメントペーストで、こて又はブラシではつり面に塗り付け、はつり面と断面形成モルタルの接着を向上させるものです。
ポリマーセメントモルタルとは、ポリマー混和剤を混和したモルタルで、セメントモルタルに比べると接着性、防水性、乾燥収縮性、耐薬品性、耐磨耗性、耐衝撃性などが向上するほか、中性化の抑制にも効果的です。
無収縮モルタルパッドとは、収縮しないモルタルのことで、モルタルに膨張材を含むことで収縮を抑えているものです。ひび割れが起こる可能性がきわめて少ないことが大きな特徴で、グラウトのような流動性はなく、通常のモルタルのようにコテで施工する固練りのタイプとなります。
ポリマーセメントモルタルの方が流動性が高く、細かい隙間にも浸透するので、無収縮モルタルパッドでの施工が難しい状況の補修にポリマーセメントモルタルを使用する形となります。

ジャンカの深さが3~10cm程度

判断基準としては、鉄筋のかぶり部分からやや奥まで鉄筋と粗骨材が露出し、空洞も見られる状態です。粗骨材同士の結合力は弱く、粗骨材を叩くとバラバラと剥落することもあります。

補修方法

補修方法としては以下の手順となります。
・健全なコンクリート部より半分以上露出した粗骨材をはつり出す

・表面の水浸し、又は噴水防止剤塗布

・はつりの表面にポリマーセメントペーストの塗布

・無収縮モルタルミルクの注入
又は
・無収縮モルタルパッドの塗付
無収縮モルタルミルクとは、収縮しないミルク状のモルタルのことで、モルタルミルクに膨張材を含むことで収縮を抑えているものです。無収縮モルタルパッドよりも流動性が高いことが特徴です。

ジャンカの深さ10cm以上

判断基準としては、コンクリート内部に空洞が多数見られセメントペーストのみで粗骨材が結合している状況です。粗骨材を叩くと連続的にバラバラと剥落します。

 補修方法

補修方法としては以下の手順となります。
・健全なコンクリート部より半分以上露出した粗骨材をはつり出す

・表面の水浸し、又は噴水防止剤塗布

・はつりの表面にポリマーセメントペーストの塗布

・同強度以上のコンクリートを漏斗で打設し、硬化後に打ち継ぎ隙間がある場合はエポキシ樹脂を注入
又は
・無収縮モルタルミルクの注入
又は
・無収縮モルタルパッドの充填

・漏斗枠は脱型後に余盛部分をはつりとる
空洞が比較的大きく、コンクリートの打設に支障がない状況であれば、同強度以上のコンクリートを漏斗で打設し…の方法をとるのが最も望ましいです。

補修における注意点

補修において共通事項として以下を遵守する必要があります。
-モルタルのつけ送り(下地のコンクリートなどの凸凹が激しいとき、仕上げの厚さを均一つにするために、下地にモルタルを塗ること)の厚さが25mmを超える場合は、ステンレス製の溶接金網、アンカーピン、樹脂ネットなどを取り付けた上で断面形成を行う必要があります。鉄筋が露出しており、成形するモルタルのアンカーになる場合は落下防止のアンカーは不要です。
-はつりにおいては、欠陥部を電動ブレーカー等を用いて硬い部分が壊れるまではつりとることが重要です。もしはつりによって付着が弛んだ箇所は、手はつりによって丁寧に取り除く必要があります。
-欠陥部を除去した部分をは、刷毛(はけ)等でよく清掃した後に清水で洗浄し、十分に吸水させる必要があります。

まとめ

ジャンカの深さに応じた適切な補修方法について解説しました。粗骨材をはつり出しが不十分であると、ジャンカ深さの正しい数値を把握できずに誤った補修方法を施してしまうだけでなく、粗骨材の密着が不十分な状態で補修をしてしまい補修後のコンクリートの品質が不十分となるとなることもあるので注意が必要です。
粗骨材を十分はつり出し、ジャンカ深さに応じて適切な補修方法を選択することが重要です。

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