鋼管杭の試験杭における施工監理項目について解説

躯体工事の現場監理において、建物の規模や用途に関わらずRC造であれば配筋検査、鉄骨造であれば製品検査や建て方検査を行います。杭基礎の建物であれば杭の施工監理も行いますが、その中でも試験杭は重要な監理項目となります。ここでは鋼管杭の試験杭における現場監理項目、立ち合い時の検査の流れについて解説します。

目次

試験杭を行う理由

試験杭は支持層を確認するための杭で、最初に打設する杭のことを指します。
試験杭は打設後、そのまま建物の杭に使用します。
試験杭は原則ボーリング調査位置と同じ位置で行います。杭の打設をボーリング調査地点と同じ位置で行うことで、試験杭の打設における抵抗値(トルク値や電流値)とボーリングのN値とを照らし合わせ、互いの相関関係を把握することが可能となります。
その後の試験杭以降の各杭の打設において、各杭の抵抗値(トルク値や電流値)からボーリングのN値を試験杭で得られた相関関係を元に逆に推定し、支持層への到達の有無を判断することができます。

試験杭立会い時の流れ

以下実際の試験杭立会いの際の流れについて整理します。

墨出しの確認

杭を打設する位置の墨出しが図面通りになっているか確認します。
杭を打設すると墨が消えてしまうので、逃げの墨を打っておくことも必要です。

GLの高さの確認

オートレベル等の測定機を用いて敷地のGL±0の高さを確認します。杭天の高さを把握する上で重要な工程です。

材料検収

設計図や施工計画書通りの杭が搬入されているか確認します。
鋼管杭であれば材質は杭に印字してありますが、ミルシートも確認しておくのが望ましいです。
ここでは杭の材質、杭長、杭径、杭厚、先端羽根径などを確認します。

使用機器の確認

杭が設計図通りであることを確認した後は、杭を打設する機械が施工計画書通りであることを確認します。
杭の打設機も杭や地盤によって選定する必要があり、場合によっては支持層まで打込めないこともあるため注意が必要です。

試掘

杭を打設する前に、アースオーガーを用いて試掘することがあります。
試掘をすることで支持層の地盤を採取することができるため、より確実に支持層到達を確認することができます。
また、支持層に到達する途中に硬い岩が紛れ込んでいたりした場合、鋼管杭が上手く打設できないこともありますが、試掘をしておくことでそのリスクを減らすことができます。

杭芯セット~打設

墨出しの確認で確認した墨に杭芯を合わせて、実際に打設していきます。
杭の打設時において、適当なタイミングで杭が鉛直になっているかの確認を、水平気泡管を用いて行います。

溶接確認

現場へ搬入できる鋼管長には限りがあるため、杭長が長い場合は2本以上の杭を現場溶接により繋げます。
地盤面から1m程頭が出た状態の一本目の上に二本目を設置し溶接の準備を行います。
溶接前には開先の隙間(ルートギャップ)が適切な長さかどうか確認を行います。

本溶接完了後は、溶接に不備がないか目視によって確認します。
溶接に不備があった場合、そこが杭の弱点となって杭の耐力が低下してしまうため、適切に管理しておく必要があります。

打止めトルク確認

打止めトルク確認は試験杭ならではの確認項目です。
杭先端が支持層に到達すると、杭に掛かる抵抗値(トルク値や電流値)が大きくなり、この時の抵抗値を管理基準値とします。
本杭は管理基準値に達したら打設完了という管理方法になるため、試験杭で設定した管理基準値はとても重要な値となります。

残尺確認

杭を打設した後、どれだけ杭の長さが余って地上に飛び出しているか確認します。
通常杭は設計杭長よりも長めに製作されていますので、支持層到達後は設計杭頭レベルよりもやや高い位置で杭が止まります。
この余分に飛び出している部分は、打設後に設計杭頭レベルまでカットして杭頭処理を行います。

芯ずれ確認

墨出しの確認にて用意した逃げの墨から、芯ずれがないか確認して、問題がなければ作業完了です。
芯ずれの許容値は施工計画の段階でJIS規格等を参考に決めておきますが、おおよそ100mm以内であれば許容範囲内です。
以上で杭打設の立会い作業は完了です。

まとめ

鋼管杭の試験杭における施工監理項目と試験杭立会い時の流れについて解説しました。数多くの確認項目がありますが、この中でも鋼管杭にとっては支持層への到達が十分であるかどうかが最も重要です。杭の性能が想定通りに発揮できるためにも十分に現場監理を行う必要があります。

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