耐震診断評定とは、耐震診断や耐震改修計画が的確に行われているかを判断するものです。地震大国とも呼ばれる日本では耐震診断の需要が高く、身の安全を守るために個人住宅でも多く実施されています。今回は「耐震診断とは一体どんな内容なのか」や「評定とは何を示しているのか」について詳しく解説していきます。耐震リフォームの費用相場も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
耐震診断における評定とは?
耐震診断における評定とは、「耐震診断を行った結果が妥当である」ことを専門家が示すものです。耐震改修計画の結果を評定する場合もあるので、評定が必要な場合は内容をしっかり確認してから申請しましょう。
通常、耐震診断の評定は必要ありませんが、補強工事の補助金を申請する場合などに必要となります。評定を受けるには費用がかかりますので、本当に評定が必要かどうか確認してから申請することをおすすめします。
耐震診断の評定は誰が行う?
耐震診断の評定は、耐震診断や耐震補強計画などの助言ができる評定委員が行います。耐震診断の評定を受けたい場合、各都道府県にある建築センターや建築指導センター、居住評価センターなどで申請が可能です。
評定委員は2名以上で審査するケースが多く、申請の時点で診断方法や結果についての説明が必要です。ただし、各機関によって方法は異なるので、気になる方は評定委員が属する最寄りの専門機関に問い合わせてください。
耐震診断にかかる手数料
耐震診断の評定の費用は、20〜50万円が相場です。床面積が広いほど評定にかかる費用は高くなっていきます。
また、高度な耐震診断方法を用いた場合や特殊な施工方法を採用している建物の場合、評定にかかる費用が加算される場合があるので注意が必要です。評定を行う際に現地調査が必要となる場合は、さらに手数料がプラスされます。
評定を行う機関によって費用は異なるため、予算を知りたい方はいくつかの機関に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
耐震診断は何のために行っているのか
耐震診断とは、既存の建物が大規模な地震にどれだけ耐えられるかを確認する術の1つです。近年日本では多数の大地震が起こっているため、多くの方が住宅や店舗などの強度を知るために耐震診断を行っています。
耐震診断を実施する理由について、以下3つのポイントに分けてわかりやすく解説します。耐震診断を受けるべきかどうか悩んでいる方は参考にしてください。
建物の耐震性能
耐震診断は現行されている「新耐震基準」を満たしているかどうかを確認するために実施されるケースが一般的です。新耐震基準は、宮城県沖地震を教訓に1981年に制定されました。震災によって建物の倒壊など大きな被害が出たことから、地震の備えの一環として耐震診断を行っています。
旧耐震基準で建てられた住居や店舗は、震度6強〜震度7の地震で倒壊する恐れがあるため、万が一の震災に備えて補強工事を行うのが望ましいとされています。建物の安全性や耐震性能を確かめたい方は、耐震診断の実施を検討してみてはいかがでしょうか。
建物の劣化の度合い
新耐震基準で建てられた建築物も、劣化が進んでいれば耐震性能が落ちている可能性があります。壁にひびが入っていたり、建て付けが悪いと感じたりする箇所があれば、耐震診断を行って建物の安全性を確かめましょう。
どんなに頑丈な建物も、経年劣化は避けられません。日本は世界でも地震が多い国ですので、心配な方は耐震診断を参考に補強工事を検討してください。
耐震補強の必要性
補強工事を検討中の方の多くも、耐震診断を行っています。結果を参考に「どの部分に補強か必要なのか」「リフォームをすべきかどうか」の判断材料となり、耐震リフォームの計画も立てられます。
耐震診断は大きく分けて「一般診断法」と「精密診断法」の2つがあり、それぞれの目的に合わせて実施されています。補強工事を検討する判断材料として耐震診断を検討中の方は、診断方法について専門家に相談してみましょう。
耐震診断の評定を受けて補強工事をする場合の費用
耐震診断の結果を経て補強工事を検討する方は、予算を知っておくことも大切です。施工事例と補強工事にかかる費用の相場を紹介しますので、予算を立てる際の参考にしてください。
住宅全体の耐震リフォーム費用の相場
住宅全体の補強工事を行う場合、費用の相場は163万円(平均施工金額)です。建物の大きさや床面積、建物の状態によって費用は上下しますが、補強工事を行う半数ほどは150万円(平均施工金額)以下に収まっていることが、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合の「木耐協 耐震診断結果 調査データ」でわかっています。
相場はあくまでも目安ですので、より具体的な料金を知りたい方は、耐震診断の結果を専門家に確認してもらい、おおよその費用の見積りを出してもらいましょう。耐震リフォームの価格は業者によっても異なるので、費用を抑えたい方は複数の業者に相談してみてはいかがですか。
旧耐震基準住宅の耐震リフォーム費用の相場
旧耐震基準に基づいて建てられた住宅の場合、補強工事の相場は182万円(平均施工金額)です。築年数や劣化度合いなどによって費用は異なるので、まずは耐震診断を行ってから耐震リフォームを検討することをおすすめします。
旧耐震基準で建てられた住宅は、大きな地震に耐えられない可能性があります。予算が少なく住宅全体をリフォームするのが難しい場合は、部分的な補強工事も可能です。ただし、部分的な耐震リフォームは家全体のバランスが悪くなり、耐震性能がかえって劣る場合があるので注意しましょう。
部分的な耐震リフォームは優先順位に沿って行うのが望ましいので、専門家のアドバイスを参考にしながら検討してください。
新耐震基準住宅の耐震リフォーム費用の相場
現行の新耐震基準住宅を補強工事する場合、費用は145万円(平均施工金額)が相場です。旧耐震基準住宅に比べて新耐震基準住宅の耐震リフォーム費用は少ない傾向にあります。
新耐震基準住宅の場合、基本的には耐震強度は満たしているケースが多くあります。ただし、建物に劣化が見られる場合は耐震強度が十分ではない可能性があるので、気になる方は耐震診断を依頼してみましょう。
耐震診断の結果、補強工事が必要と判断された場合は、各専門機関に耐震リフォームの施工期間や費用など具体的な方法について確認してください。金銭的な不安がある方は、部分的な補強工事も視野に入れて、住宅の耐震性能を高めてはいかがでしょうか。
耐震診断の評定を参考にリフォームを検討しよう
耐震リフォームで補助金を受ける場合、評定が必要となります。ただし、評定を受けるには費用がかかるので、事前に「補助金の対象であるか」「評定を受ける必要があるか」をきちんと確認してから実施してください。
耐震診断の結果を受けて補強工事を行う方は、費用の相場を参考に予算を立てましょう。建物の劣化度合いや築年数、旧耐震基準と新耐震基準のどちらに基づいて建築されているかによって費用が決まります。
少しでも費用を抑えたい方は部分的な耐震リフォームも視野に入れて検討することをおすすめします。