耐震診断と耐震改修工事に関わる税務について

本記事では耐震診断費用や、耐震改修工事を行った場合の関わる税務について解説します。耐震診断の結果「耐震改修工事が必要」と判断される可能性もあるので、ぜひ覚えておきましょう。

目次

耐震診断の費用は損金に参入することができるのか?

耐震診断は「耐震補強工事の必要性」を判断するために行います。耐震工事の実施は前提にしていません。

そのため、耐震診断の費用は「委託報酬手数料支出」などの経費科目で処理するのが適切と考えられます。ただし、国税庁では損金への参入について明言はしていません。

耐震改修工事を行った場合の税額控除について

耐震改修工事の内容に応じて、税額の控除を受けられることがあります。内容別に詳しく見ていきましょう。

要耐震改修住宅を取得し耐震改修を行った場合

事前に耐震改修の申請をして、実際の居住日(取得日から6か月以内に限る)までに耐震基準に適合する工事を行えば、「住宅借入金等特別控除」の適用対象となります。なお、控除される額や控除期間は、居住を開始した年によって異なります。

住宅の耐震改修工事をした場合

1981年5月31日以前に建てられた住宅に耐震改修を行った場合は、「住宅耐震改修特別控除」が適用されます。所得税の控除率は「国が定めた標準的な費用の10%」て、期間は1年です。

耐久性向上改修工事をした場合

耐久性向上改修工事をしただけでは、税金の控除は受けられません。税金の優遇措置を受けるためには他の工事と組み合わせる必要があります。
組み合わせる工事によって、適用される減税制度は以下のように変わります。

組み合わせる工事適用される制度
耐震改修工事  住宅特定改修特別税額控除
省エネ改修工事
耐震改修工事と省エネ改修工事
省エネ改修工事(住宅ローンあり)特定増改築等住宅借入金等特別控除

なお、2つの控除を同時に適用することはできないので、いずれかの選択適用となります。

耐震改修費用の会計処理について

耐震改修にかかった費用の会計処理方法はどうなるのでしょうか?
・資本的支出となる場合
・修繕費となる場合
それぞれ詳しく見ていきましょう。

資本的支出となる場合

修理や改修が下記に該当すると認められる場合は、「資本的支出」になります。
1.資産の価値を高める
2.耐久性を増すことになる
耐震補強工事は原則として「資本的支出」になり、費用は建物の耐用年数によって償却すると考えていいでしょう。

修繕費となる場合

資産の維持管理や原状回復のために行う工事費用は「修繕費」になります。資本的支出と修繕費のどちらにすべきか迷った場合は、以下をチェックしてください。
1.費用が60万円に満たない
2.費用が対象資産の前期末における取得価額の10%相当額以下
これらに該当する場合は、修繕費として処理しても良いと認められています。

まとめ

耐震診断と耐震改修工事に関わる税務について解説してきました。
1981年(昭和56年)5月31日以前に着工した建築物は所定の耐震性能を満たしていない可能性があるので、資産や人命の安全を守るためにも耐震診断は行うことが推奨されます。その中でも一定の条件に該当する建築物は耐震診断が義務化されています。
耐震改修に伴う費用は税額控除の適用条件は複数ありますが、耐震診断の費用は税額控除の適用条件が特に決められていないので、税理士や所轄の税務署に相談してみてください。

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