耐震改修で固定資産税が減額?対象となる改修工事や要件・申請方法について

耐震改修を行った場合、要件を満たしていれば固定資産税が減額されます。ただし、耐震改修の内容によっては減額の対象外となるので、これからリフォームを行う方は事前に要件を確認しておきましょう。今回は「固定資産税が減額される条件」や「申請方法」「耐震改修の費用相場」を紹介します。耐震改修を検討している方はぜひ参考にしてください。

目次

耐震改修は要件を満たせば固定資産税が減額される

耐震改修は要件を満たせば固定資産税が減額される

耐震改修工事を行うと対象の住宅に係る固定資産税の減額措置が受けられる場合がありますが、いくつかの要件を満たさなければならず、対象工事期間も限定されています。まずは詳しい要件について見ていきましょう。

固定資産税減額の要件

固定資産税減額措置の対象となるのは、1982年1月1日以前に建築された住宅です。さらに、減額措置の適用を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

・現行の耐震基準に適合する耐震改修工事を行っていること
・耐震改修工事の費用が税込50万円を超えること
・店舗などと併用している住宅の場合、床面積の半分以上が居住用であること

減額の対象となる改修工事の期間

減額措置の対象となるのは、2024年3月31日までに耐震改修工事が完了している住宅です。工事完了から3か月以内に、該当の住宅が所在する自治体に申告する必要があります。

固定資産税の減額の範囲

減額措置の対象となった場合、該当住宅の120平方メートル相当分までについて、翌年度の固定資産税が1/2に減額されます。

参考:耐震改修に係る固定資産税の減額措置|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001487860.pdf

固定資産税の減額申請の注意点

固定資産税の減額申請の注意点

耐震改修工事に係る固定資産税の減額申請を行う場合、以下の2つの制度とは同時に申請ができないため注意しましょう。

・バリアフリー改修工事を行った住宅に係る固定資産税の減額制度:100平方メートル相当分まで、1年間1/3が軽減
・省エネ改修工事を行った住宅に係る固定資産税・都市計画税の減額制度:120平方メートル相当分まで、1年間1/3が軽減

ただし、バリアフリーと省エネ両方の改修工事に該当する場合には、この2つの制度で同時に軽減措置を受けることが可能です。

参考:住宅の改修工事(耐震・バリアフリー・省エネ)に伴う固定資産税の軽減措置について|栃木県矢板市
https://www.city.yaita.tochigi.jp/soshiki/zeimu/kaisyuu.html

耐震改修による固定資産税の減額申請手順

耐震改修による固定資産税の減額申請手順

ここからは、耐震改修工事に係る固定資産税減額措置の申請方法について詳しく解説していきます。申請は耐震改修工事が完了してから3か月以内という期限が設けられているため、不備がないようにしっかり準備して臨みましょう。

申請方法

減額措置の適用を受けるためには、該当の住宅が所在している市区町村の窓口で申告を行います。窓口は市区町村によって異なり、市区役所や町村役場の税務課、資産税課などが担当しています。

必要な書類

申告時に必要な書類は、主に以下のとおりです。

・固定資産税減額申告書
・増改築等工事証明書もしくは住宅耐震改修証明書
・工事請負契約書

申告書は窓口で配布しているほか、自治体のホームページでダウンロード可能な場合が多いので、自宅で記入して持参するとスムーズです。

増改築等工事証明書は、都道府県知事によって登録された建築士事務所に所属している建築士、登録住宅性能評価機関、指定確認検査機関、住宅瑕疵担保責任保険法人のいずれかに発行してもらいます。

住宅耐震改修証明書は、該当住宅が所在する地方公共団体にて発行可能です。

自治体によって必要書類が異なる場合があるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

参考:耐震改修に係る固定資産税の減額措置|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001487860.pdf

耐震改修にかかる費用の相場

耐震改修にかかる費用の相場

前述した通り、耐震改修に係る固定資産税の減額措置が受けられるのは、耐震改修工事費用が税込50万円を超える場合です。では、耐震改修工事には実際にどのくらいの費用がかかるのでしょうか。

2019年に日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)が実施した調査によると、業者が施工した木造2階建て以下の住宅の耐震改修工事の4割近くで、工事費用は100~200万円だったそうです。

ここでは、建物の種類別に、耐震改修工事の費用相場を紹介します。実際にかかる費用は建物の状況によって大きく変わるため、あくまで目安として参考にしてください。

参考:木耐協調査データ 令和元年10月発表|日本木造住宅耐震補強事業者協同組合
https://www.mokutaikyo.com/dcms_media/other/tyousa_1910.pdf

戸建住宅の費用相場

戸建住宅の場合、平屋か2階建てかで相場が異なります。

平屋の費用相場

木造平屋建ての耐震改修工事費用は、以下の計算式で目安が導き出せます。

耐震改修工事費(万円)=12.0 × 延べ面積(平方メートル)0.56

延べ面積が75平方メートルの場合は約140万円、100平方メートルの場合は約160万円が目安ということになります。

2階建ての費用相場

木造2階建ての耐震改修工事費用の目安を求める計算式は、以下のとおりです。

耐震改修工事費(万円)=12.1 × 延べ面積(平方メートル)0.56

延べ面積が100平方メートルの場合は約180万円、125平方メートルの場合は約200万円が目安になります。

共同住宅の費用相場

共同住宅の場合には、5階建てまでか6階建て以上かで耐震改修工事の費用相場が異なります。

3~5階建ての費用相場

3~5階建て共同住宅の耐震改修工事費用は、以下の計算式で目安を求められます。

耐震改修工事費(万円)=43.8 × 延べ面積(平方メートル)0.47

延べ面積が200平方メートルの場合は約530万円、300平方メートルの場合は約640万円が目安となります。

6階建て以上の費用相場

6階建て以上の共同住宅の耐震改修工事費用は、以下の計算式で目安を算出します。

耐震改修工事費(万円)=17.2 × 延べ面積(平方メートル)0.65

延べ面積が500平方メートルの場合は約980万円、1,000平方メートルの場合は約1,540万円が目安です。

店舗の費用相場

店舗の耐震改修工事費用の目安は、以下の計算式で求められます。

耐震改修工事費(万円)=6.52 × 延べ面積(平方メートル)0.89

延べ面積が500平方メートルの場合は約1,650万円、1,000平方メートルの場合は約3,050万円を目安にしましょう。

事務所ビルの費用相場

店舗の耐震改修工事費用の目安は、以下の計算式で算出します。

耐震改修工事費(万円)=9.62 × 延べ面積(平方メートル)0.82

延べ面積が500平方メートルの場合は約1,580万円、1,000平方メートルの場合は約2,780万円が目安となります。

参考:耐震改修工事費の目安|国土交通大臣指定耐震改修支援センター・一般財団法人日本建築防災協会
https://www.city.ayase.kanagawa.jp/ct/other000053700/taishinkaishuukoujihinomeyasu.pdf

固定資産税を減額したいなら早めに耐震改修を行おう

固定資産税を減額したいなら早めに耐震改修を行おう

耐震改修工事に係る固定資産税の減額措置が受けられるのは、2024年3月31日までに工事が完了した住宅のみです。耐震改修工事を考えている場合はできるだけ早めに耐震診断と耐震改修工事を実施し、工事が終わったら忘れずに固定資産税減額措置の申請を行いましょう。

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