太陽光発電設備の補助金とは?制度・申請方法をチェック!

脱炭素社会の実現に向けて、官民合同で太陽光発電設備を導入する動きが活発になっています。住宅や事業所に太陽光発電設備を設置する際のネックは、初期費用やランニングコストです。しかし補助金を活用すれば、負担を抑えて太陽光発電設備を導入できます。太陽光発電設備の補助金は経済産業省や環境省が実施主体ですが、現在は自治体による補助金が増加しています。

目次

太陽光発電設備の設置でもらえる補助金の現状

太陽光発電設備の設置でもらえる補助金の現状

日本のエネルギー自給率向上を目標として、政府や自治体主導で太陽光発電設備の導入を促す動きが広まっています。代表的な施策は太陽光発電設備を設置した家庭や企業への補助金支給で、売電収入を得られることもあり、太陽光発電設備普及に一役買っています。
太陽光発電設備の設置後に利用できる補助金の代表例が、FIT制度です。2009年11月に開始されたもので、最長10年間電力会社に固定価格で余剰電力を買い取ってもらえます。太陽光発電設備を設置する費用に補助金を利用できるケースもあるため、導入を検討する際はチェックが必要です。

太陽光発電設備の補助金は経済産業省や環境省が所管する

太陽光発電設備導入に伴い支給される補助金は、経済産業省と環境省が所管しています。このうち経産省は「需要家主導による太陽光発電導入促進補助金」を実施しており、太陽光発電設備を設置した民間事業者に対して補助金が支給されます。
ただし、家庭が太陽光発電設備を導入した際に支給される国が主体の補助金制度は、令和4年度(2022年度)には実施されていません。発電した電気を売って収入を得られる前述のFITのほかは、蓄電池や省エネ住宅などを太陽光発電設備と組み合わせたケースが補助金の支給対象です。

太陽光発電設備の補助金は都道府県・市区町村が主体

太陽光発電設備を家庭に導入する場合の経済産業省・環境省による補助金は実施されていませんが、自治体(都道府県・市区町村)が主体の補助金は引き続き受給可能です。自治体によっては、住宅向けの太陽光発電設備に限らず、中小企業や公衆浴場などを対象とする補助金もあります。
たとえば、さいたま市が実施する「スマートホーム推進・創って減らす」機器設置補助金は、省エネに資する発電・蓄電設備に対する補助金制度です。令和4年5月25日から令和5年1月31日までが申請受付期間で、太陽光発電設備の場合は4kW未満30,000円、4kW以上50,000円の補助金が支給されます。

自治体が太陽光発電設備の補助金を実施中か確認が必要

自治体が主体の太陽光発電設備向け補助金は、それぞれの自治体により申請受付期間や支給条件が異なるため注意が必要です。国・都道府県・市区町村の補助金を重複して受給可能か、太陽光発電設備を単独で設置するだけでよいか、それとも蓄電池や断熱設備も必要か確認しましょう。
お住まいの自治体が太陽光発電設備の設置に伴う補助金制度を実施しているかどうかは、自治体の広報誌やWebサイトで確認できます。また、太陽光発電設備メーカーも自治体の補助金制度について案内してくれますので、Webサイトで確認するか、販売店に問い合わせてください。

太陽光発電設備向け補助金の種類

太陽光発電設備向け補助金の種類

2022年(令和4年)現在、太陽光発電設備を導入するだけで補助金が支給される制度を行うのは一部の自治体に限られており、太陽光発電設備と蓄電設備などの組み合わせを対象とする補助金がほとんどです。現在国が実施している主な補助金について見ていきましょう。

DERとZEH補助金は、家庭や事業所に蓄電や省エネ設備の導入を促し、エネルギー効率を向上させます。CEV補助金は電気自動車(EV)の充電に利用する太陽光発電設備が対象です。正確には補助金ではありませんが、オンサイトPPAも太陽光発電設備導入に役立ちます。

蓄電池が対象のDER補助金

DER補助金とは、「蓄電池等の分散型エネルギーリソース」となる太陽光発電設備に支給されるものです。その名の通り蓄電池等を備えた太陽光発電設備が対象で、ソーラーパネルのみの設置では補助金を受給できません。令和3年度までは「VPP補助金」と呼ばれていました。
DER補助金は個人と法人のいずれでも受給できますが、国や自治体に直接申請することは不可能です。リソースアグリゲーターと呼ばれる事業者が間に入って、家庭・企業への太陽光発電設備と蓄電池の設置および管理を行います。
補助金の額は、蓄電システムの場合は設備費・工事費の3分の1以内です。補助金上限は事業者が太陽光発電設備や蓄電池を設置する場合は5.2万円/kWh、それ以外は3.7万円/kWhです。

省エネ住宅が対象のZEH補助金

ZEHとはnet Zero Energy Houseの略で、一次エネルギーの消費量が差し引きゼロになる住宅を意味します。補助金の支給対象は、太陽光発電設備と蓄電池に加えて断熱材や断熱サッシを使用した省エネ住宅です。また、所有者自身が住む新築の住宅が対象であり、中古や賃貸物件は対象外です。
補助金の額は年度により異なりますが、およそ50万円から55万円です。また、燃料電池の導入で2万円が上乗せされるなど、太陽光発電設備以外の省エネ設備導入にも役立ちます。ZEH補助金の受給には、対応するハウスメーカー・工務店から新築住宅や建売住宅を購入する必要があります。

電気自動車用太陽光発電設備に使えるCEV補助金

CEV補助金とは、電気自動車(EV)などクリーンエネルギー自動車が対象の補助金です。車両購入による補助金は、個人・法人いずれも受給できます。補助金額の上限例は、軽電気自動車が55万円、それ以外の電気自動車が85万円、燃料電池自動車が255万円などです。
また、電気自動車向け充放電設備(V2H)の導入にも補助金が支給されるため、太陽光発電設備を導入した住宅や事業所はさらなる省エネのメリットを享受できます。補助金上限額は設備費が75万円、工事費が法人90万円・個人40万円です。

補助金同様に太陽光発電設備を導入できるオンサイトPPA

オンサイトPPAとは、発電事業者(PPA事業者)が太陽光発電設備の住宅・事業所への設置費用を負担するもので、正確には補助金ではありません。また、リース契約とは違って太陽光発電設備の所有権も発電事業者にあるため、建物の所有者による管理は不要です。
オンサイトPPAでは、太陽光発電設備が発電した電気は設置された建物が優先的に消費しますが、電気料金は発電事業者に支払います。つまり建物の所有者は「屋根を貸して発電してもらう」ため、太陽光発電設備の費用とメンテナンスが不要なかわりに収入は得られません。

太陽光発電設備設置による補助金の受給条件・申請方法は?

太陽光発電設備設置による補助金の受給条件・申請方法は?

一部繰り返しになりますが、太陽光発電設備の設置に対して支給される補助金の申請方法を確認しましょう。住宅や事業所の所有者が国・自治体に直接補助金を申請できる場合と、太陽光発電設備や住宅を販売する事業者に申し込む場合に大別されます。
また、太陽光発電設備が家庭用か、それとも工場・事業所用かによっても受給できる補助金の種類や申請方法は変わります。

家庭用の太陽光発電設備の補助金受給条件

家庭で太陽光発電設備向けの補助金を受給する方法として、設備の設置と同時に事業者に申し込むことが挙げられます。蓄電池向けのDER補助金はリソースアグリゲーターが、ZEH住宅の補助金はビルダーが窓口です。
一方で、CEV補助金は車両や太陽光発電設備を導入した際に自分自身で「次世代自動車振興センター」に書類で申請する必要があります。FITも同様で、太陽光発電設備を設置して電力会社に接続契約を申し込んだ後に、資源エネルギー庁に新規認可申請します。

工場・事業所で太陽光発電設備を設置する場合

工場・事業所に太陽光発電設備を設置して補助金を受給する際の申請方法も、基本的には住宅向けと変わりません。DER補助金はアグリゲーター経由で申請しますが、FITやCEV補助金は太陽光発電設備を設置する事業所自身による申し込みが必要です。
また、大規模な工場や事業所は屋根面積が広いため、関西電力や北陸電力が実施するオンサイトPPAへの申し込みが可能です。この場合はまず電力会社の支店に問い合わせ、チア要項発電設備の設置について担当者と打ち合わせることになります。

補助金の額は太陽光発電設備の容量によって決まる

太陽光発電設備向けの補助金は容量に関係なく一律の金額が支給されるものと、金額が容量に比例するものに分かれます。先に説明したように、DER補助金は設備費・工事費の3分の1以内で、さらに1kWhあたり5.2万円または3.7万円が上限額となります。
kWh(キロワット時)とは、太陽光発電設備などが1時間発電し続けた場合の電力量を意味します。たとえば、容量が合計1kWのソーラーパネルが1時間発電して得られる電力量は1kWhです。太陽光発電設備の容量が大きいほど設置費用が増えるため、補助金の額も上がるといえます。

太陽光発電設備導入には補助金を活用しよう

太陽光発電設備導入には補助金を活用しよう

FIT制度の開始から10年以上が経ち、太陽光発電設備の設置に伴う補助金制度も変化してきました。単に太陽光発電設備を設置するだけではなく、蓄電池や断熱材と組み合わせた省エネ・エネルギー自家消費が主流となりつつあります。
国際情勢の変化もあり、エネルギーの地産地消はより重要なテーマとなりました。国や自治体の補助金を活用し、家庭や事業所への太陽光発電設備導入に役立ててください。

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