太陽光発電設備の売却方法とは?高く売るコツや注意点について解説!

不動産と同じように売却が可能な太陽光発電設備ですが、近年の社会情勢や市場の変化から売却に踏み切る個人が増えています。金額が大きい太陽光発電は売却方法・手続きの流れ・高く売るコツなどを知っておくことで、賢く売却できるでしょう。注意点にも触れながら、より利益につながる売却方法について解説していきます。

目次

太陽光発電設備売却増加の背景

太陽光発電設備売却増加の背景

安定した収益が得られる太陽光発電設備ですが、今後中古太陽光発電設備が高く売れにくくなることを懸念して、個人が所有する太陽光発電設備を手放す動きが加速しています。売却に踏み切る理由として挙げられる背景を紹介していきます。

中古太陽光発電の人気上昇

2022年の現在、太陽光発電投資物件の問い合わせは中古物件が多く占めており、新設物件への問い合わせは緩やかな減少傾向にあります。売電収入の下落に伴い売却額が今よりも下がっていくとの予想から、中古の太陽光発電物件の人気が上昇しています。

燃料価格の高騰・半導体不足による影響

現在の市場における太陽光パネル・架台・パワコンなどの部材価格は高騰傾向にあります。半導体不足による新設物件を取り扱う販売店の利益減少、さらにコロナの影響などでより一層新設物件は減少していく可能性が高いと言えるでしょう。買い取り側にとっても中古の太陽光発電設備の方が安定した投資物件としてニーズが高いため、売却するタイミングとして注目されています。

FITルール変更による売却額下落

再生可能エネルギー普及を目的とした「固定価格買取制度」を意味するFIT(Feed In Tariff)のルール変更により、新規FITの条件が難しくなっています。

2009年11月には住宅用太陽光発電の余剰電力買取制度、2020年度からは自家消費30%以上の低圧FITなどさまざまな条件が追加されてきました。さらに、2023年からはインボイス制度という出力制御のルールがスタートします。これまで売電収入に含まれていた消費税分が免税事業者に入らなくなり収入源の減少が予想されるため、新たに太陽光発電設備を導入することが困難になっているのです。

また、2012年から開始された太陽光発電の全量売電制度が10年目を迎える現在は、パワーコンディショナーの交換・新規保険の加入・遠隔監視再申し込みなど設備維持のために必要なコストがかかる時期です。このタイミングを機に中古太陽光発電設備を手放す個人が増加すれば、大量に市場に流れることで中古太陽光発電設備の価値が下がる可能性があります。そのため中古物件が多く流通していない今、太陽光発電設備の売却が増加しています。

太陽光発電設備の売却方法

太陽光発電設備の売却方法

太陽光発電設備の売却方法は直接販売・仲介・買い取りなどの取引形態がありますが、仲介・買い取りの2種類が主流でしょう。太陽光発電売却のための一括査定サイトなどもありますが、成約報酬や仲介手数料が発生する場合や情報提供料を支払う場合があり、査定額が低くなる可能性があります。

仲介・買取は、発電所オーナーである売手と買手の取引を事業者が仲介してくれるため、売買の手続き・必要書類の準備・適切な査定額算出・価格交渉などを代行してもらえます。成約時に事業者への手数料は発生しますが、複雑なやりとりにおける手間や労力が少なく済みます。さらに個人間取引によるトラブルを避けられるため、安全な売却方法と言えるでしょう。

太陽光発電設備売却の流れ

仲介業者に太陽光発電設備売却を依頼した際の流れは以下の通りです。

1.売却の簡易査定を依頼し、査定額を確認する
2.仲介業者と媒介の契約を締結する
3.現地調査後に正式な査定額の算出を行う
4.仲介業者が買手事業者と交渉し、合意の上で売買契約を結ぶ
5.買手事業者側から売却額が支払われる

買手事業者に太陽光発電設備売却を依頼した際の流れは以下の通りです。

1.売却の簡易査定を依頼し、査定額を確認する
2.現地調査後に正式な査定額の見積もりを出す
3.買手事業者の出した見積もり価格に合意した場合には売買契約を結ぶ
4.買手事業者側から売却額が支払われる

買取の場合には、買手が決まり契約締結が済んだ後に売却額が支払われるケースもあるため、契約書の確認をきちんと行いましょう。

売却に当たっての注意点

売却に当たっての注意点を2つ紹介します。

1.確定申告をする必要がある

太陽光発電設備の売却で、売却時の価値から売却額を引いた金額がプラスの場合に生じる「売却益」が発生した場合には、所得税の対象となるため確定申告を行う必要があります。個人による売却は法律上「所得」として分類されるため、給与所得と売却益を合わせた金額に対して累進課税されます。不動産売買と同様、確定申告と納税の義務が生じることを覚えておきましょう。また、個人の場合は譲渡所得に分類され税額の計算方法が複雑化するため、細かな確認作業が必要になります。

2.名義変更までにかかる期間

太陽光発電設備の売却には所有者の名義変更が必要ですが、最短でも1か月以上かかります。これは事業計画の認定や土地の登記簿における名義変更が非常に複雑であるためで、完全に完了するまで最長で半年程度かかるケースもあります。また、土地の登記簿の名義変更については法務局に申請しなくてはなりません。専門的な分野でもあるため、基本的には仲介業者や買取事業者に代行してもらうのが安心でしょう。

太陽光発電設備を高く売るコツ

太陽光発電設備を高く売るコツ

太陽光発電設備の売却が増加傾向にあるとはいえ、高く売るためにはコツを押さえておく必要があります。スピーディーな売却にばかり重点をおいていると、適切な売却価格以下の金額で手放すことになりかねません。以下の高く賢く売るためのコツを参考にしてみてください。

転売業者には売らない

転売業者は一度買い取った太陽光発電設備を転売して利益を得るため、買取金額が非常に安い傾向にあります。なるべく早くスピード重視で売却したい人にはおすすめですが、収益を得たい人にとっては転売業者への売却は損をする可能性があるでしょう。

設備の修繕で売却価格を上げ、高い売電実績を作る

太陽光発電設備は故障部分があったりメンテナンスが不十分だったりすると、売電実績が落ちてしまいます。パワコンの接続不良やパネルの破損など故障部分を修繕することで売電実績が改善されれば、売却価格も上がるでしょう。

また、稀に最初からシミュレーションよりも売電実績が低いケースがありますが、その場合は施工段階でのミスが原因の可能性もあります。一方で、もしもメンテナンスを疎かにしていた場合には、得られていたはずの売電収入を逃した上に査定金額まで下がってしまう事態に繋がってしまいます。補修が必要な状態でも太陽光発電設備の売却は可能ですが、高く売るためには機材の補修や部品の交換などを済ませておくと査定額が高くなるでしょう。

自然災害による被害を受ける前に売る

自然災害による被害を受けた発電設備は保険金額が高くなるため、将来的にリスクの高い太陽光発電設備と判断されてしまいます。金額の大きい太陽光発電設備の売却を予期せず起こる自然災害を見越して決心するのは難しいですが、FITルールが変更される節目やまだ状態の良いうちに手放す判断をすれば、高く査定される可能性も上がるでしょう。

太陽光発電設備売却の流れやコツを押さえ、安全に売却しよう

太陽光発電設備売却の流れやコツを押さえ、安全に売却しよう

太陽光発電設備の全量売電制度が10年目を迎える今年、設備維持にコストがかかるタイミングを機に手放す人も多い傾向にあります。市場の半導体不足などで価格が高騰傾向にあり、買手にとっても今のうちに手に入れたい太陽光発電設備は、より一層需要が高まるでしょう。賢く安全に売却するため、売却方法やコツなどをぜひ参考にしてみてください。

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