太陽の光を利用して電力をつくる太陽光発電は、自然エネルギーの代表格として業務用以外に個人でも導入する事例が増えています。この記事では太陽光発電に必要な設備とそれぞれにかかる費用について解説します。発電設備の設置規模による違いを紹介し、業者選定や設備のメンテナンスなど太陽光発電における費用の削減方法を提案します。
太陽光発電に必要な設備
太陽光から電気を作りそれを利用するには、太陽光発電の設備が必要です。太陽光発電設備として代表的なものにソーラーパネルがあります。ただし、ソーラーパネルだけでは太陽光の電力を使用できません。太陽光発電に必要な設備を以下に解説します。
ソーラーパネル
太陽の光を取り込み光電効果によって発電するソーラーパネルは、太陽光発電のメインとなる設備です。ソーラーパネルは太陽光モジュールとも呼ばれ、パネル1枚ごとに単価が設定されていることが一般的です。太陽光発電システムの導入費用の大半をソーラーパネル代が占めることも多く、設置枚数に応じて費用も増加していきます。
パワーコンディショナー
ソーラーパネルと同じく太陽光発電を利用するために必要不可欠な設備がパワーコンディショナーです。パワーコンディショナーは、ソーラーパネルから得た直流電流を一般家庭用の交流電流へと変換するシステムで、屋内用と屋外用で仕様が異なります。パワーコンディショナーの容量は太陽光発電システムの規模によって変化し、発電量に比例してパワーコンディショナーの容量も大きなものが必要となります。パワーコンディショナーの設置は、ソーラーパネルの設置に次いで費用がかかる傾向にあります。
蓄電池
太陽光発電によって得られた電力を蓄えておくための設備が蓄電池です。蓄電池は太陽光発電において絶対に必要な設備というわけではありませんが、太陽光から作られた電力を効率よく運用していくためには欠かせない設備です。蓄電池があれば、自家発電した電力を使用する時間を選択したり、停電や災害時に非常用電力として利用したりすることも可能になります。近年では蓄電池は太陽光発電設備の一環として、一般家庭用にも普及してきています。
その他の設備
ソーラーパネルやパワーコンディショナー、蓄電池のほかにも太陽光発電を稼働させるにはいくつかの設備が必要になります。とくにソーラーパネルを固定する架台は太陽光発電には欠かせない設備です。
架台はステンレス製のものやアルミ製のものがあり、アルミ製だと費用が多少安くなる傾向があります。ただし強度的にはステンレス製のほうが丈夫なので、パネルの設置条件によって適切なものを選ぶ必要があるでしょう。また、積雪の多い地域や海の近く、特殊な形状の屋根などソーラーパネルの設置環境によっても、特殊な架台が必要になってきます。
そのほかに発電量モニターや電力量計といった電気の計測器具も、発電や売電の状況を確認するためにあったほうがよい設備です。
ケース別にみた太陽光発電設備の費用
太陽光発電にかかる費用は、設備を設置する場所や建物によって異なります。また、一般住宅か賃貸住宅に住んでいるかでも設置できる設備とそれにかかる費用が変わってきます。ここからは、太陽光発電設備の設置にかかる費用を、ケースごとに解説していきます。
戸建住宅の太陽光発電費用
2021年の経済産業省のデータでは、太陽光発電の設置費用の割合は新築住宅の1kwあたりで平均価格がおよそ28万円となっています。一般的な住宅のソーラーパネルは3~5kW程度の容量です。このことから、平均的戸建住宅における太陽光発電の設置費用は84万~140万円程度と考えられます。
参考:令和4年度令和以降の調達価格等に関する意見|調達価格等算定委員会 – 経済産業省
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20220204_1.pdf
賃貸住宅の太陽光発電費用
賃貸住宅に住んでいる場合には、太陽光発電設備を建物に導入するかどうかは物件のオーナーが決めることが一般的です。持ち家であれば決定権は自分たちにありますが、賃貸物件の場合はマンションやアパートの大家にその権利があります。そのかわり、居住者には費用を負担する義務はありません。
どうしても賃貸住宅に住みながら自分で太陽光発電をしたい人には、次項で紹介する方法もあります。
ポータブルソーラー発電
賃貸住宅などで自分用の太陽光発電を導入できないのであれば、独立型の太陽光発電設備を設置する方法があります。これはポータブル太陽光発電と呼ばれるもので、移動が可能で簡単に設置できる太陽光パネルのシステムです。
ポータブル太陽光発電は本格的な太陽光発電設備と比較して費用がかからず、設置のための工事なども不要です。屋根に固定しなくてもベランダに置いておくだけで発電ができ、持ち運びもできるのでアウトドアなどに持っていくことも可能です。ただし、ポータブル太陽光発電は発電量が少ない、売電ができないなどのデメリットもあります。
太陽光発電設備の費用を削減する方法
太陽光発電にかかる費用は決して安いものではありません。ですが、業者の選定や自治体の助成金を利用することで費用を抑えることも可能です。ここからは、太陽光発電設備にかかる費用を減らす方法について考察します。
業者の選定
太陽光発電の費用を考える場合に、事業者の選定はおろそかにできない要素です。太陽光発電設備は販売事業者によって料金の設定が異なります。また、販売料金だけではなく設置の工事費用も違ってきますので注意が必要です。事業者によってはサービスやキャンペーンを展開していることが多いので、確認しておくとよいでしょう。
太陽光発電設備においては、販売価格や設置費用以外にメンテナンスなどのフォロー体制も大切です。購入費用だけではなくアフターフォローの内容まで含めてトータルでお得になる事業者を選ぶことが、結果的に費用対効果の最大化につながります。
メンテナンス費用
太陽光発電を長期間効率的に運用していくには、定期的な清掃やメンテナンスが欠かせません。太陽光から電力への変換効率は、ソーラーパネルの汚れによって低下します。また屋外に設置されている機器なので、経年劣化するパーツも出てきます。太陽光発電設備のメンテナンスには費用もかかりますが、定期的におこなうことで発電効率を下げずに安定した運用が可能になります。
助成金を上手に使おう
都道府県や市区町村といった自治体が、太陽光発電システムの導入に対して補助金制度を設けている場合があります。現在自分が住んでいる自治体の助成金制度を一度確認しておきましょう。また、蓄電池についても設置費用の補助を申請できることもあります。国や自治体の助成金制度は申請期間が決められているので、時期を逃さないよう、こまめに情報をチェックしておくことをおすすめします。
売電利益を最大化するには
太陽光発電による経済的な効果は、電気代の削減と売電収入を合わせたものであると考えられます。電気代の削減は電力会社との契約内容や普段の電気使用状況によって結果が異なりますので、各家庭の状況にあわせた節電対策が必要です。また、売電収入の規模には売電価格が影響し、売電の単価は太陽光発電設備を設置した時期によっても変わります。これらの効果を総合的に判断して設備を稼働することで、売電利益の最適化が図れます。
費用を最適化して太陽光発電設備を運用しよう
太陽光発電の普及にともなって、太陽光発電設備の設置費用は年々下がり続けています。しかし、2022年現在では経済状況の見通しが悪く、この先は費用が増加する可能性もないとはいえません。太陽光発電の設備は決して安い買い物ではありませんが、売電による収入や電気代の削減効果を考慮すれば、導入を検討してみてもよいでしょう。
また、クリーンな再生可能エネルギーを利用することは、地球環境に対する負荷を減らすことに繋がります。未来の子どもたちへ暮らしやすい地球を残すためにも、太陽光発電設備は導入する価値があるといえるでしょう。