太陽光発電の売買や相続で必要な名義変更とは?手続きの流れや注意点について解説!

売買や相続により太陽光発電を譲り受ける場合には、土地や住宅と同じように名義変更が必要です。名義変更が必要な項目はいくつかあり、項目によって手続き方法や必要な書類などが異なります。申請手順を踏まえてスムーズに手続きを行うために、押さえておきたい名義変更の基本的な知識と注意点について解説していきます。

目次

太陽光発電の名義変更とは

太陽光発電の名義変更とは

太陽光発電といえば、住宅の屋根部分に設置されているものを思い浮かべる人も多いでしょう。太陽光発電設備の備え付けられている住宅を購入したり譲り受けたりする場合には、住宅とは別に手続きが必要です。特に重要な名義変更として事業計画認定(旧設備認定)・売電契約・土地登記簿の3つが挙げられますが、そのほかにも細々とした名義変更必須項目が存在します。申告先・手続き方法・必要書類などがそれぞれ異なり複雑なため、太陽光発電の名義変更は個人で行うよりも専門業者に代行してもらうのが一般的となっています。

太陽光発電の名義変更に適切なタイミング

太陽光発電の名義変更に適切なタイミング

太陽光発電の名義変更は、住宅に関する手続きなど他の手続きと同時進行で進めていくため混同してしまいがちです。煩雑な作業の多い太陽光発電の名義変更はどのタイミングに備えておくべきか、事前に確認しておくことが重要でしょう。

生前贈与

住宅の生前贈与は、独立や結婚のタイミングで親や祖父母から譲り受けたり、ライフステージに合わせて住宅を変えたりなど、あらゆるタイミングが考えられます。

住宅の屋根部分などに太陽光発電が既設されている場合、蓄電池の追加導入は国への申請手続きが必要です。太陽光発電の名義変更でも国に申請しなければならない項目が存在するので、蓄電池導入時に生前贈与することにより手続きの手間が省けるでしょう。

相続

太陽光発電の事業者が亡くなった場合、相続人を事業者にするため名義変更が必要です。住宅の屋根部分に設置されている家庭用太陽光発電の場合は、住宅と太陽光発電どちらも同じ名義となるケースが一般的でしょう。

住宅の売却時や中古住宅の購入時

太陽光発電が備え付けられた住宅の売却時や中古住宅の購入時も、オーナーが変わるため名義変更が必要です。不動産仲介業者の指南に沿って手続きを行うケースが多く、不明な点は確認しながら進められます。売却や購入における必要書類と混ざってしまう可能性もあるため、太陽光発電の手続き用書類を分けておくとスムーズでしょう。

太陽光発電の名義変更で必要な手続きと書類

太陽光発電の名義変更で必要な手続きと書類

名義変更の項目によって申請方法や必要書類が異なります。特に重要な3項目に関して、以下を確認しておきましょう。

事業計画認定(旧設備認定)

事業計画認定とは、太陽光発電の導入により所有者を変更する場合に国に対して申請するものであり、経済産業省から認可を受けている重要な項目の一つです。

事業計画認定の名義変更の手続きは、経済産業省のWebサイトから申請が可能です。流れについては、参考ページに目を通してみてください。また、申請から審査完了まで3か月程度かかる場合もあるため事前に確認し、必要書類をまとめておくと慌てずに進められるでしょう。

事業計画認定(旧設備認定)の名義変更は、生前贈与を含む事業譲渡の場合と、相続の場合とで必要書類が変化します。以下で紹介していきます。

参考:再生可能エネルギー電子申請|経済産業省-資源エネルギー庁
https://www.fit-portal.go.jp/

事業譲渡の場合

生前贈与を含む事業譲渡の場合に必要な書類
・譲渡契約書または譲渡証明書原本
・譲受者と譲渡者の印鑑証明書原本
・土地の取得も伴う場合には、土地登記簿謄本や不動産売買契約書など
・破産による譲渡の場合には、裁判所による破産管財人証明書

個人の場合
・譲受者と譲渡者の住民票写し
・戸籍謄本原本、または住民票記載事項証明書原本
法人の場合
・譲受者と譲渡者の履歴事項全部証明書原本
※地方自治体の場合は公印規程の用意も必要です。

相続の場合

相続の場合に必要な書類
・亡くなられた被相続人の戸除籍謄本原本(附票を含む)
・法定相続人全員の戸籍謄本原本、または法務局より発行された法定相続情報原本
・法定相続人全員の印鑑証明書原本
・遺産分割協議書、または相続人全員の同意書

被相続人の戸除籍謄本と法定相続人全員の戸籍謄本においては、法務局発行から発行された法定相続情報原本で代用が可能となっています。附票のみない場合には、住民票除票でも代用できます。

売電契約

売電契約は、太陽光発電で生産された電力を電力会社に売電する際に必要な契約です。売電契約の名義変更が行われないと、売電収入の振込先が旧オーナーのままになるため注意しましょう。

売電契約の名義変更は、契約先の電力会社の問い合わせ窓口などに連絡して行います。太陽光発電の設置場所の住所・現在の電力会社のお客様番号・旧オーナーと新オーナーの個人情報などを聞かれます。電力会社によって申請に必要な書類も異なるため、問い合わせのタイミングで確認するとスムーズでしょう。 契約先の電力会社のホームページに記載されているケースもあるため、あわせてチェックすると安心です。

一般的に売電契約の名義変更で必要な書類については、以下の通りです。
・電力会社ごとに用意されている名義変更申込書、または電力受給契約申込書
・発電事業計画変更認定申請書、または事後変更届出書の写し
・口座振込依頼書

土地登記簿

土地登記簿は、太陽光発電を設置する土地や建物の所有者を特定するための書類です。土地の所有者および法務局に対して申請する土地登記簿の名義変更の流れは以下の通りです。
・土地の権利関係の確認のため登記簿謄本を取得する
・戸籍謄本の収集を行う
・住民票や評価証明書などを取得する
・登記関係書類などを含む必要書類を作成する
・必要書類への署名と捺印
・管轄の法務局に登記申請書と添付書類を提出し申請を行う

事業認定契約や売電契約に比べて、土地登記簿の名義変更は手続きが複雑です。太陽光発電業者や不動産業者、司法書士などの仲介・代行を活用して申請することをおすすめします。

土地登記簿の名義変更は贈与と法定相続の2種類があります。それぞれ必要書類が異なるので、以下を参考に注意して用意しましょう。

贈与

贈与の場合に必要な書類
・贈与者の印鑑証明書
・贈与者の登記識別情報、または登記済証(権利証)
・受贈者の住民票
・贈与契約書など登記原因証明情報

法定相続

法定相続の場合に必要な書類
・被相続人の戸籍謄本、住民票の除票、除籍謄本
・相続人の戸籍謄本、住民票
・固定資産評価証明書
・登記申請書

上記以外に追加書類の提出を求められるケースもあるため、申請先の法務局に確認しておくと安心でしょう。

太陽光発電の名義変更における注意点

太陽光発電の名義変更における注意点

太陽光発電の名義変更において押さえておくべき注意点について解説していきます。

売電価格や期間は引き継がれる

太陽光発電の名義変更をしても、売電価格や売電期間はそのまま引き継がれます。売電価格は事業計画認定を受けた年の売電価格が適用され、売電期間は名義変更後も前オーナーの売電収入期間の継続となります。FIT適用終了に伴い売電価格も下落してしまうため、運用利益を得るためには対策を講じる必要があります。

贈与税が発生する

贈与税とは、所有財産を生前贈与する際に発生する税のことです。太陽光発電の名義を「夫」から「妻」へ変更する場合、または「祖父母」から「子や孫」へ変更する場合に贈与税発生の対象になる可能性があります。しかし、「祖父母」から「子や孫」へ太陽光発電の名義変更をする場合には、「緑の贈与」という国の優遇税制が適用されます。太陽光発電や蓄電池の設置など一定条件を満たせば、贈与税の非課税限度額に500万円が加算され節税につながるでしょう。

名義変更の申請には一定期間を要する

太陽光発電の名義変更の中でも特に期間を要するのが事業計画認定です。一般的な申請から完了までの期間は3か月程度ですが、場合によっては5か月以上かかることもあります。事業計画認定はWeb申請が可能なので、後回しにせず余裕をもって行えるといいでしょう。

土地登記簿設定は慎重に確認する必要がある

土地登記簿の名義変更は、抵当権設定・地上権設定・賃借権設定など登記設定の確認事項が多く煩雑です。契約上で土地譲渡を完了していても、登記設定が他人名義のままであるなどの事態が発生してしまう可能性があります。登記設定の確認は慎重に行い、トラブルを回避しましょう。

太陽光発電設備の名義変更は、専門業者による代行を視野に入れて安全に行おう

太陽光発電設備の名義変更は、専門業者による代行を視野に入れて安全に行おう

太陽光発電の名義変更は項目によって異なる必要書類や手続き方法に、時間だけではなく労力もかかります。太陽光発電設備自体の保証期間や点検・メンテナンス状況など名義変更以外にも必要な作業があり、個人で手続きを行うには負担が大きいでしょう。前オーナーとの連携も求められる名義変更なので、専門業者の代行を活用し、計画的に進めてください。

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