太陽光発電の優遇税制は?3つの税制と適用する際の注意点を徹底解説

環境に優しく、安全でクリーンなエネルギーとして知られる太陽光発電。近頃、多くの場所で太陽光発電の導入が増加しています。それにより、電気代の節約や災害時の備え、環境対策として太陽光発電の設置を考えている企業も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、中小企業で太陽光発電設備を導入の際に適用される税制を徹底的に調査しくわしく解説していきます。

目次

太陽光発電設備とは

太陽光発電設備とは

太陽光発電とは、太陽光の日射を電気エネルギーへ変換し電気を生み出す発電装置です。太陽光パネルに日光を集めて直流の電気を発生させ、パワーコンディショナーを経由して交流の電気に変換して使用したり売電したりできるようにします。

有害な排気ガスや二酸化炭素を排出しないので環境に優しく、電気代の節約にもつながります。太陽が出ている天気の良い日中にしか発電はできませんが、緊急停電時にも太陽光が得られれば発電可能です。

太陽光発電設備の導入で利用できる優遇税制

太陽光発電設備の導入で利用できる優遇税制

太陽光発電設備を利用するとクリーンな環境や電気代の節約を目指せるので、導入を考えている企業も多いのではないでしょうか。国や自治体でも太陽光発電設備の導入で優遇税制が実施されています。

ここからは、中小企業への太陽光発電設備の導入で活用できる優遇税制をくわしく解説していきます。

参考:経営情報No.426-令和3年度税制改正のポイント|日本政策金融公庫

中小企業経営強化税制

2023年3月31日までに中小企業で太陽光発電設備を導入した際に、「即時償却」または「税額控除」のどちらかの税制支援が受けられる制度です。

即時償却は、太陽光発電設備の取得価額の全額を、取得した年度の経費に算入できる制度です。この制度を活用することで、所得年度に大きな節税を目指せます。

税額控除は、太陽光発電設備を取得した年度の税金が控除される制度です。資本金が3,000万円未満の企業の場合、特定経営力向上設備等の取得価額の10%の税制支援、資本金が3,000万円以上の企業の場合は7%の税制支援を受けられます。控除率は企業の資本金によって異なるので注意が必要です。税額控除の限度額は、適用年度の調整前法人税額の20%です。

対象企業

中小企業経営強化税制の対象企業は、青色申告書を提出している法人のうち、資本金1億円以下および従業員が1,000人以下で、中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた法人です。しかし、適用除外事業者は対象外となります。

対象設備

中小企業経営強化税制の対象設備は、自家消費型・自家消費率が50%以上の余剰売電型です。自家消費率が50%以下の余剰売電型・全量売電型は対象外なので注意が必要です。

参考:No.5434 中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)|国税庁

中小企業投資促進税制

2023年3月31日までに、中小企業で新品の太陽光発電設備を導入した際に、即時償却または税額控除の税制支援を受けられる制度です。

即時償却は、太陽光発電設備の取得価額30%を取得した年度に算入できる制度です。中小企業であれば資本金額は関係なく30%の特別償却が受けられます。

税額控除は、資本金3,000万円以下の中小企業に限り、太陽光発電設備を取得した年度の税金7%が控除される制度です。資本金が3,000万円を超える中小企業の場合、税額控除は受けられないので注意しましょう。

対象企業

中小企業投資促進税制の対象企業は、青色申告書を提出する資本金1億円以下の法人・従業員が1,000人以下の法人、個人事業主です。しかし、適用除外事業主は対象外となります。

対象設備

中小企業投資促進税制の対象設備は、自家消費型・余剰売電型です。自家消費率は問わないので、50%未満の場合は「中小企業投資促進税制」の税制支援を受ける方法もあります。

参考:No.5433 中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)|国税庁

カーボンニュートラルに向けた投資促進税制

2024年3月31日までに、認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画にある太陽光発電設備を取得した際に、即時償却または税制控除の税制支援を受けられる制度です。

即時償却は、太陽光発電設備の取得価額500億円以下の場合に、取得価額50%をその年度に算入できる制度です。

税制控除は、大きな脱炭素化効果のある製品の生産設備の場合は10%の控除、生産工程等の脱炭素化と付加価値向上の場合は5〜10%が控除される制度です。

対象企業

カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の対象企業は、青色申告書を提出する認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画の認定を受けた法人です。

対象設備

カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の対象設備は、「大きな脱炭素化効果のある製品の生産設備」と「生産工程等の脱炭素化と付加価値向上」を兼ね備えた設備です。

参考:No.5925 カーボンニュートラルに向けた投資促進税制(生産工程効率化等設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)|国税庁

税制の適用を受ける際の注意点

税制の適用を受ける際の注意点

太陽光発電設備の導入により優遇措置を活用したい人は、期限に注意が必要です。

税制優遇の期限は、申し込みを完了する期限ではなく認定されるまでの期限です。申し込みしてから認定されるまでは通常2〜3か月かかるので、年度末ギリギリで申し込みすることのないように余裕を持って計画的な行動を心がけましょう。

また、優遇税制の期限はこれまでに何度か延長されているので、太陽光発電設備の導入を検討している人は期限のチェックを忘れずに行ってください。

太陽光発電設備の優遇税制を活用して節税しよう

太陽光発電設備の優遇税制を活用して節税しよう

今回は、太陽光発電設備の導入で活用できる優遇税制についてくわしく解説していきました。

中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制は、内容がよく似ている制度です。太陽光発電設備の自家消費率が50%以下の場合は、受けられる優遇税制は下がりますが中小企業投資促進税制を選択するのも1つの方法です。

即時償却と税制控除は双方メリットがありますが、節税効果を短時間で得たい場合は即時償却、年度末に支払う税金を減らしたい場合は税制控除を選択するのがおすすめです。

それぞれの環境に合った優遇税制の支援を受け、環境のためにも節税を心がけていきましょう。

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