一貫計算プログラム「SEIN La CREA」では意匠階高と構造階高をそれぞれ設定する必要があります。意匠階高と構造階高の用語の意味と設定における注意点について解説します。
意匠階高とは
一般的な用語としては、下階のFL(フロアライン)からFLまでの寸法になります。実際にはFLとは床の仕上げ天端であり、意匠図において断面図で記されている各階の高さとなります。
「SEIN La CREA」では意匠階高は壁や構造部材の荷重をプログラム内で自動算出する上での高さ、層間変形角の算出に用いる高さとして定義されます。
SEINでの設定方法
以下の図に記す通り
建物DB->編集->層編集で設定できます。
通常は設計図で規定している階高(FL間の寸法)を入力していれば問題ありません。
構造階高とは
一般的な用語としては構造階高とは構造躯体の芯から芯までの距離です。
「SEIN La CREA」ではモデルモードにおいて構造芯位置(層からの下がり量)を指定することで自動計算されます。
SEINでの設定方法
以下図の通り
モデルモード->一般条件->共通条件->高さで設定できます。
意匠階高と構造階高の設定例
R階の代表的な大梁の梁天=FL-130、H-440×300×11×18
5階の代表的な大梁の梁天=FL-140、H-600×300×12×25
4階の代表的な大梁の梁天=FL-140、H-600×300×12×25
3階の代表的な大梁の梁天=FL-140、H-600×300×12×25
2階の代表的な大梁の梁天=FL-140、H-600×300×12×25
1階の代表的な基礎梁の梁天=FL-250、D×B=2000×600
の建物を例にして構造芯位置(層からの下がり量)を求めてみましょう。
RFは梁天=FL-130、梁せい440より、構造芯位置(層からの下がり量)は130+440/2=350mm。
5Fは梁天=FL-140、梁せい600より構造芯位置(層からの下がり量)は140+600/2=440mm。
4Fは梁天=FL-140、梁せい600より、構造芯位置(層からの下がり量)は140+600/2=440mm。
3Fは梁天=FL-140、梁せい600より、構造芯位置(層からの下がり量)は140+600/2=440mm。
2Fは梁天=FL-140、梁せい600より、構造芯位置(層からの下がり量)は140+600/2=440mm。
1Fは梁天=FL-250、梁せい2000より、構造芯位置(層からの下がり量)は1250mm。
「SEIN La CREA」において、構造芯位置(層からの下がり量)のデフォルト値は小梁を含めた全ての梁の平均の梁せいで入力されているため、数値として不適切です。
大梁のせいが複数ある場合は、各階で最も小さい大梁のせいとして設定すれば、構造階高が大きくなる方向で安全側の計算となるため問題ありません。
設定における注意点
RC造の場合、階高(FL間の寸法)を意匠階高とすると、柱梁接合部の剛域長が自動計算では適切な値とならず、以下図のように上部よりも下部の方が剛域寸法はやや大きくなってしまいます。
RC造でも壁式構造のような壁が応力のほとんどを負担する構造であれば、このような剛域の誤差は解析結果に対して大きな影響を与えませんが、RC造純ラーメンの場合は剛域の誤差は解析結果に対して少なからず影響を与えますので注意が必要です。
剛域寸法を適切な数値とするためには、意匠階高を梁天間寸法で設定する必要があります。
意匠階高を梁天間寸法とした場合の構造階高の設定例
以下意匠階高を梁天間寸法とした場合の構造階高の設定例になります。
1階梁天~2階梁天は3200+430-120=3510mm
2階梁天~3階梁天は2950+120-120=2950mm
~
7階梁天~8階梁天は2950+120-120=2950mm
8階梁天~屋根梁天は2990+120-160=2950mm
よって1階の意匠階高を3510mmとし、それより上階の意匠階高を2950mmとした。
構造階高算出の根拠となる構造芯位置(層からの下がり量)は以下の通りとする。
RFは梁せい700より、構造芯位置(層からの下がり量)は700/2=350mm。
8Fは梁せい700より、構造芯位置(層からの下がり量)は700/2=350mm。
7Fは梁せい700より、構造芯位置(層からの下がり量)は700/2=350mm。
6Fは梁せい750より、構造芯位置(層からの下がり量)は750/2=375mm。
5Fは梁せい750より、構造芯位置(層からの下がり量)は750/2=375mm。
4Fは梁せい750より、構造芯位置(層からの下がり量)は750/2=375mm。
3Fは梁せい750より、構造芯位置(層からの下がり量)は750/2=375mm。
2Fは梁せい800より、構造芯位置(層からの下がり量)は800/2=400mm。
1Fは梁せい2000より、構造芯位置(層からの下がり量)は2000/2=1000mm。
まとめ
「SEIN La CREA」で規定される意匠階高と構造階高の意味を正しく理解し、構造計算を行うにおいて適切なモデル化を行うことが重要です。